ストリング(ガットの正式名称)の耐久性は、「切れない」こととイコールではありません。きちんと機能することこそが存在意義であり、その命は「伸縮性」にあります。
ボールがインパクトした瞬間、ストリング面はグイッと押し込まれます。つまり一瞬だけ伸びるのです。そして次の瞬間(約1000分の1~3秒)、伸びたストリングは元の長さまで縮もうとします。この「伸び→縮み」がストリングの反発性能の源なのです。
いわばトランポリンと同じこと。高い所から落ちてくる人間を、マットがグーンとたわんで、元に戻る時に人間を上方へ押し上げます。マットに伸縮性があるからです。もしもマットに伸縮性がなくなったら…伸びはしても、素早く元に戻らず、落ちてきた人間は再び宙に浮くことはできません。これと同じことがストリング面でも起きているのです。
ストリングは伸縮性能が低下すると、ボールが当たってたわみはしますが、伸縮によって打球を加速できなくなります。この状態が「飛びが悪くなった」という感覚となって、パフォーマンスに反映します。
ただストリング面はトランポリンと違って、飛びが悪くなっても、一応はボールを跳ね返します。なぜならば「スイングされているから」です。そして、ボール自体にも反発力があるため、ストリングの伸縮性が低下しても、それで寿命が来たと感じず、まだ耐久していると誤解してしまうわけです。
では、ストリングの寿命はどうやって見極めたらいいのでしょう? ポイントは、自分自身を客観的に見つめることができるかどうかです。人間というのは、突然の変化には気付きやすいですが、徐々に変化するものにはかなり鈍感です。いつの間にか、最初の状態を忘れてしまう。ですから、プレー頻度が連続的であればあるほど、ストリングの変化について感覚は鈍くなるわけです。
目安として「何だか最近、ボールの飛びが悪くなったな」と感じた時には、もうかなり瀕死の状態。切れていなくても張り替えが必要です。多くのプレーヤーが「きっと自分の調子が悪いせいだ」なんて思いがちですが、常に安定してプレーを再現できるプロは、打球結果の違いによって、即座に道具の変化を感じ取ります。
一般レベルでも、感覚を自分の外に置き、できるだけ客観的に打球結果を判断すれば、ストリングの変化に気付くはずです。でも一番確実なのは、いつも一緒に練習している友達やコーチに、自分の打球がどうなっているか見てもらうことですね。
文●松尾高司(KAI project)
※『スマッシュ』2015年1月号より抜粋・再編集
【PHOTO】ボールがつぶれ、フェイスがたわむ! 3/1000秒の瞬間を捉えたスーパーインパクト集!!
ボールがインパクトした瞬間、ストリング面はグイッと押し込まれます。つまり一瞬だけ伸びるのです。そして次の瞬間(約1000分の1~3秒)、伸びたストリングは元の長さまで縮もうとします。この「伸び→縮み」がストリングの反発性能の源なのです。
いわばトランポリンと同じこと。高い所から落ちてくる人間を、マットがグーンとたわんで、元に戻る時に人間を上方へ押し上げます。マットに伸縮性があるからです。もしもマットに伸縮性がなくなったら…伸びはしても、素早く元に戻らず、落ちてきた人間は再び宙に浮くことはできません。これと同じことがストリング面でも起きているのです。
ストリングは伸縮性能が低下すると、ボールが当たってたわみはしますが、伸縮によって打球を加速できなくなります。この状態が「飛びが悪くなった」という感覚となって、パフォーマンスに反映します。
ただストリング面はトランポリンと違って、飛びが悪くなっても、一応はボールを跳ね返します。なぜならば「スイングされているから」です。そして、ボール自体にも反発力があるため、ストリングの伸縮性が低下しても、それで寿命が来たと感じず、まだ耐久していると誤解してしまうわけです。
では、ストリングの寿命はどうやって見極めたらいいのでしょう? ポイントは、自分自身を客観的に見つめることができるかどうかです。人間というのは、突然の変化には気付きやすいですが、徐々に変化するものにはかなり鈍感です。いつの間にか、最初の状態を忘れてしまう。ですから、プレー頻度が連続的であればあるほど、ストリングの変化について感覚は鈍くなるわけです。
目安として「何だか最近、ボールの飛びが悪くなったな」と感じた時には、もうかなり瀕死の状態。切れていなくても張り替えが必要です。多くのプレーヤーが「きっと自分の調子が悪いせいだ」なんて思いがちですが、常に安定してプレーを再現できるプロは、打球結果の違いによって、即座に道具の変化を感じ取ります。
一般レベルでも、感覚を自分の外に置き、できるだけ客観的に打球結果を判断すれば、ストリングの変化に気付くはずです。でも一番確実なのは、いつも一緒に練習している友達やコーチに、自分の打球がどうなっているか見てもらうことですね。
文●松尾高司(KAI project)
※『スマッシュ』2015年1月号より抜粋・再編集
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