「1本ずつ!」
コートから離れた客席にも、柴原瑛菜の力強い声が届いた。
全豪オープン、女子ダブルスの準決勝。
対戦相手は、大会第2シードにして、昨年末にはダブルスランク1位にも座したココ・ガウフ/ジェシカ・ベグラ組。しかも二人はいずれも、シングルスでもトップ10プレーヤーである。
肩書や履歴を見れば、震えあがりそうな強敵だ。
その強豪を青山修子と柴原は、第1セットは超攻撃テニスで圧倒した。
ただ第2セットに入ると、個々のパワーに勝る米国ペアが牙を剥く。特にガウフは、その溢れるアスリート能力を誇示するように、前衛で躍動した。
日本ペアは先にブレークを許し、ゲームカウントは早々に0-3に。
だが1-3からのガウフのサービスゲームを、青山の渾身のリターンでブレーク成功。
そこからは肩をぶつけ合うような、一進一退の並走状態が続く。
青山サービスの第11ゲームでは、ブレークの危機で柴原が、フェイントで相手を幻惑し甘いボールを叩き込んだ。
そして駆け込んだ、タイブレーク。
先行したのは、危機をしのぎ勢いつく日本ペア。柴原のストレートアタックで、3-0とリードした。
だが、そのまま流されないのが、第2シードの実力だ。4ポイント連取で追い抜くと、6-4の連続セットポイントまで加速した。
「1本ずつ!」
柴原の明るい声が響いたのは、その時だ。
言葉の真意をボールに込めるかのように、続くポイントで柴原は世界3位のペグラと真っ向打ち合い、球威で押し切った。
続くラリーでは青山が、気合いの叫び声と共に、身体ごとボールに飛び込みボレーを決めた。
迎えたマッチポイント——。
青山の気迫のボレーが、ガウフのラケットを弾く。
青い空に弧を描くボールがラインを超えるのを見届けると、柴原は歓喜の声と共にうずくまり、青山は小さく跳ねながら柴原の下へと駆け寄った。
「タイブレークでは、エナがポジティブな言葉を掛けてくれた。それが力になった」
試合直後のオンコートインタビューで、青山は11歳年下のパートナーへの、感謝の言葉を口にした。
コートから離れた客席にも、柴原瑛菜の力強い声が届いた。
全豪オープン、女子ダブルスの準決勝。
対戦相手は、大会第2シードにして、昨年末にはダブルスランク1位にも座したココ・ガウフ/ジェシカ・ベグラ組。しかも二人はいずれも、シングルスでもトップ10プレーヤーである。
肩書や履歴を見れば、震えあがりそうな強敵だ。
その強豪を青山修子と柴原は、第1セットは超攻撃テニスで圧倒した。
ただ第2セットに入ると、個々のパワーに勝る米国ペアが牙を剥く。特にガウフは、その溢れるアスリート能力を誇示するように、前衛で躍動した。
日本ペアは先にブレークを許し、ゲームカウントは早々に0-3に。
だが1-3からのガウフのサービスゲームを、青山の渾身のリターンでブレーク成功。
そこからは肩をぶつけ合うような、一進一退の並走状態が続く。
青山サービスの第11ゲームでは、ブレークの危機で柴原が、フェイントで相手を幻惑し甘いボールを叩き込んだ。
そして駆け込んだ、タイブレーク。
先行したのは、危機をしのぎ勢いつく日本ペア。柴原のストレートアタックで、3-0とリードした。
だが、そのまま流されないのが、第2シードの実力だ。4ポイント連取で追い抜くと、6-4の連続セットポイントまで加速した。
「1本ずつ!」
柴原の明るい声が響いたのは、その時だ。
言葉の真意をボールに込めるかのように、続くポイントで柴原は世界3位のペグラと真っ向打ち合い、球威で押し切った。
続くラリーでは青山が、気合いの叫び声と共に、身体ごとボールに飛び込みボレーを決めた。
迎えたマッチポイント——。
青山の気迫のボレーが、ガウフのラケットを弾く。
青い空に弧を描くボールがラインを超えるのを見届けると、柴原は歓喜の声と共にうずくまり、青山は小さく跳ねながら柴原の下へと駆け寄った。
「タイブレークでは、エナがポジティブな言葉を掛けてくれた。それが力になった」
試合直後のオンコートインタビューで、青山は11歳年下のパートナーへの、感謝の言葉を口にした。