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海外テニス

「毎試合良くなっている」決勝進出の青山修子と柴原瑛菜! タイトル獲得の条件は「引かずにやり続けること」【全豪OP】<SMASH>

内田暁

2023.01.28

お互いの持ち味を融合させることでさらなる可能性を広げた青山修子と柴原瑛菜が決勝へと駒を進めた。(C)Getty Images

お互いの持ち味を融合させることでさらなる可能性を広げた青山修子と柴原瑛菜が決勝へと駒を進めた。(C)Getty Images

「1本ずつ!」

 コートから離れた客席にも、柴原瑛菜の力強い声が届いた。

 全豪オープン、女子ダブルスの準決勝。

 対戦相手は、大会第2シードにして、昨年末にはダブルスランク1位にも座したココ・ガウフ/ジェシカ・ベグラ組。しかも二人はいずれも、シングルスでもトップ10プレーヤーである。

 肩書や履歴を見れば、震えあがりそうな強敵だ。

 その強豪を青山修子と柴原は、第1セットは超攻撃テニスで圧倒した。

 ただ第2セットに入ると、個々のパワーに勝る米国ペアが牙を剥く。特にガウフは、その溢れるアスリート能力を誇示するように、前衛で躍動した。

 日本ペアは先にブレークを許し、ゲームカウントは早々に0-3に。

 だが1-3からのガウフのサービスゲームを、青山の渾身のリターンでブレーク成功。

 そこからは肩をぶつけ合うような、一進一退の並走状態が続く。

 青山サービスの第11ゲームでは、ブレークの危機で柴原が、フェイントで相手を幻惑し甘いボールを叩き込んだ。
 
 そして駆け込んだ、タイブレーク。

 先行したのは、危機をしのぎ勢いつく日本ペア。柴原のストレートアタックで、3-0とリードした。
 
 だが、そのまま流されないのが、第2シードの実力だ。4ポイント連取で追い抜くと、6-4の連続セットポイントまで加速した。

「1本ずつ!」

 柴原の明るい声が響いたのは、その時だ。

 言葉の真意をボールに込めるかのように、続くポイントで柴原は世界3位のペグラと真っ向打ち合い、球威で押し切った。

 続くラリーでは青山が、気合いの叫び声と共に、身体ごとボールに飛び込みボレーを決めた。


 迎えたマッチポイント——。

 青山の気迫のボレーが、ガウフのラケットを弾く。

 青い空に弧を描くボールがラインを超えるのを見届けると、柴原は歓喜の声と共にうずくまり、青山は小さく跳ねながら柴原の下へと駆け寄った。

「タイブレークでは、エナがポジティブな言葉を掛けてくれた。それが力になった」

 試合直後のオンコートインタビューで、青山は11歳年下のパートナーへの、感謝の言葉を口にした。
 
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