連日熱戦を繰り広げてきたテニス四大大会「全豪オープン」もいよいよ千秋楽。すでに女子シングルスでは、アリーナ・サバレンカ(ベラルーシ/世界ランク5位)が、悲願の四大大会初制覇を達成。大会最終日の現地1月29日(日本時間17時30分以降開始)には、センターコートで男子シングルス決勝が開催される。その大一番に臨む元世界王者のノバク・ジョコビッチ(セルビア/現5位/35歳)とステファノス・チチパス(ギリシャ/同4位/24歳)の微笑ましい掛け合いが話題となっている。
事の発端は、ジョコビッチが地元勢のアレックス・デミノー(オーストラリア/24位)に勝利した現地1月23日の4回戦終了後に出席した記者会見でのこと。
この日、ベスト8進出者の中で唯一のグランドスラム優勝経験者となったジョコビッチは「四大大会を優勝したことがある選手として僕がまだ残っていることは嬉しいことだが、それが何か大きな違いを生むとは思わない」と話すと、突如前日の22日に8強入りを決めたチチパスに言及。
「例えばチチパスは、準々決勝進出者の中でおそらく最も経験豊富な選手だ。彼はすでにグランドスラムの上位ステージでかなりの回数をプレーしているね」と一回り年下の俊才を称賛しつつ、「彼は(四大大会の)決勝に進んだことはないと思うけど…」と発言した。
だがこの時、35歳のレジェンドは大きな間違いを犯したことに気付いていなかった。というのもすでにチチパスは2021年の全仏オープンでグランドスラム決勝の大舞台を経験しており、その時の対戦相手は何をかくそう、ジョコビッチだったのだ。2セットダウンからチチパスに大逆転勝利を収めて四大大会19度目の優勝を成し遂げたにもかかわらず、本人はそれを全く覚えていなかったという。
念のため「あれ、僕の記憶が間違ってる?」と確認を入れたジョコビッチに対してある記者が「あなたが21年の全仏決勝で彼(チチパス)に勝利しました。あなたが逆転で勝ちました。いい試合でしたよ」と答えると、ジョコビッチは少々焦った様子で「ああ、そうだった、そうだった。ごめんなさい!」と謝罪。
「僕が言いたかったのは、彼はGSのタイトルを獲得する準備ができているように見えるし、彼のプレーぶりを見ていると、どんどん優勝に近づいてきているから、彼をほめたかったということだ」と続けた。
すると今度はチチパスが“反撃”を仕掛ける。現地1月27日の準決勝でカレン・ハチャノフ(ロシア/20位)に勝利し、キャリア2度目の四大大会決勝進出を決めた24歳は、試合後の会見でジョコビッチが自身との全仏決勝を忘れていた件について問われると、「僕も覚えていないよ」と真顔でまさかの回答。
改めて記者が「全仏の決勝ですよ?」と質問を繰り返すも、チチパスの答えは「いや、覚えてないよ」の一点張りだった。ジョコビッチのコメントに応戦したと思われるが、悲願のGSタイトルをつかみ取るのに、屈辱的な敗戦を引きずったままではいけないということなのだろう。
運命の頂上決戦を前にファンの笑いを誘ったジョコビッチとチチパス。果たして今回の全豪決勝ではどのような結末が待っているのだろうか。テニスファン大注目の一戦となりそうだ。
文●中村光佑
【PHOTO】全豪オープン2023で熱戦を繰り広げるジョコビッチら男子選手たちの厳選写真!
事の発端は、ジョコビッチが地元勢のアレックス・デミノー(オーストラリア/24位)に勝利した現地1月23日の4回戦終了後に出席した記者会見でのこと。
この日、ベスト8進出者の中で唯一のグランドスラム優勝経験者となったジョコビッチは「四大大会を優勝したことがある選手として僕がまだ残っていることは嬉しいことだが、それが何か大きな違いを生むとは思わない」と話すと、突如前日の22日に8強入りを決めたチチパスに言及。
「例えばチチパスは、準々決勝進出者の中でおそらく最も経験豊富な選手だ。彼はすでにグランドスラムの上位ステージでかなりの回数をプレーしているね」と一回り年下の俊才を称賛しつつ、「彼は(四大大会の)決勝に進んだことはないと思うけど…」と発言した。
だがこの時、35歳のレジェンドは大きな間違いを犯したことに気付いていなかった。というのもすでにチチパスは2021年の全仏オープンでグランドスラム決勝の大舞台を経験しており、その時の対戦相手は何をかくそう、ジョコビッチだったのだ。2セットダウンからチチパスに大逆転勝利を収めて四大大会19度目の優勝を成し遂げたにもかかわらず、本人はそれを全く覚えていなかったという。
念のため「あれ、僕の記憶が間違ってる?」と確認を入れたジョコビッチに対してある記者が「あなたが21年の全仏決勝で彼(チチパス)に勝利しました。あなたが逆転で勝ちました。いい試合でしたよ」と答えると、ジョコビッチは少々焦った様子で「ああ、そうだった、そうだった。ごめんなさい!」と謝罪。
「僕が言いたかったのは、彼はGSのタイトルを獲得する準備ができているように見えるし、彼のプレーぶりを見ていると、どんどん優勝に近づいてきているから、彼をほめたかったということだ」と続けた。
すると今度はチチパスが“反撃”を仕掛ける。現地1月27日の準決勝でカレン・ハチャノフ(ロシア/20位)に勝利し、キャリア2度目の四大大会決勝進出を決めた24歳は、試合後の会見でジョコビッチが自身との全仏決勝を忘れていた件について問われると、「僕も覚えていないよ」と真顔でまさかの回答。
改めて記者が「全仏の決勝ですよ?」と質問を繰り返すも、チチパスの答えは「いや、覚えてないよ」の一点張りだった。ジョコビッチのコメントに応戦したと思われるが、悲願のGSタイトルをつかみ取るのに、屈辱的な敗戦を引きずったままではいけないということなのだろう。
運命の頂上決戦を前にファンの笑いを誘ったジョコビッチとチチパス。果たして今回の全豪決勝ではどのような結末が待っているのだろうか。テニスファン大注目の一戦となりそうだ。
文●中村光佑
【PHOTO】全豪オープン2023で熱戦を繰り広げるジョコビッチら男子選手たちの厳選写真!