海外テニス

首位陥落のアルカラスに同郷の先輩コレッチャが助言!「世界1位の座にこだわってはいけない」<SMASH>

中村光佑

2023.02.05

昨年の全米以降はケガの影響で結果が出せていない19歳の前世界1位アルカラス(写真)に同郷の大先輩コレチャが助言を送った。(C)Getty Images

 男子テニスツアーでシングルス通算17勝を誇る元世界ランク2位のアレックス・コレチャ氏(スペイン/48歳)が、イギリスのスポーツメディア『Express Sport』のインタビューに回答。そのなかで同郷の前世界王者カルロス・アルカラス(現2位/19歳)に対し、プレッシャーとの向き合い方についてアドバイスを送った。

 昨年9月の全米オープンで悲願のグランドスラム初優勝を果たし、男子テニス史上最年少での世界1位を記録したアルカラス。昨年末のランキングではキャリア初の年間1位も達成し、19歳にしてすでに数々の輝かしい功績を残している。

 ところが全米優勝以降は出場したトーナメントで早期敗退が目立ち、昨年11月のロレックス・パリ・マスターズではシングルス準々決勝で同年齢のホルガー・ルネ(デンマーク/9位)と対戦した際に腹部を負傷。出場権を獲得していたシーズン最終戦「Nitto ATPファイナルズ」の欠場を余儀なくされた。

 さらにはオフ期間の練習中に右脚を痛め、先週行なわれた年内最初のテニス四大大会「全豪オープン」も開幕直前に欠場を発表。新シーズンが開幕してからはまだツアー大会に出場していない。

 現地1月30日に更新された世界ランキングでは、全豪で大会10度目の優勝と史上最多タイの四大大会22勝目を挙げたノバク・ジョコビッチ(セルビア/大会時5位)に1位の座を明け渡した。

 コレチャ氏はアルカラスがオーストラリアで全くプレーできなかったことについて「いいプレーをしようと頑張っていたのに、残念だ」とコメント。周囲からの大きな期待による重圧と戦いながら「ハードワークを続けてきた」ことで、心身共に悲鳴を上げてしまったと考察し、以下のように述べた。
 
「彼(アルカラス)が世界ナンバーワンになるためにやってきたたゆまぬ努力。その全てが、多くのエネルギーを必要とするのは当たり前だし、ナンバーワンになるために何が必要なのか、またどれだけ期待されているのかを理解するのにも少し時間がかかると思う」

 最後にコレチャ氏は、アルカラスがトッププレーヤーの地位を維持しようとしすぎるあまり、自分自身に必要以上のプレッシャーをかけているのではないかと指摘。同選手のツアーでの経験がまだまだ浅いことを踏まえ、「世界1位の座にこだわってはいけないと思う。そのポジションを守ることが、今の彼の目的ではないはずだ。もしそこにこだわりすぎると、プレッシャーだけでなく、今の年齢では必要のない余計な重荷が肩にのしかかってくる」と助言した。

 現時点では2月13日から開催される「アルゼンチン・オープン」(アルゼンチン・ブエノスアイレス/クレーコート/ATP250)での復帰を予定しているアルカラス。昨年優勝したマイアミとマドリードのマスターズ2大会を含め、クレーシーズンにかけてランキングポイントの大量失効が待ち受けているが、そのプレッシャーをどう跳ね除けるのか注目したい。

文●中村光佑

【PHOTO】史上最年少の1位となった19歳アルカラスの全米オープン2022優勝までの激闘の記録
 
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【動画】アルカラスが初優勝を遂げた「2022全米オープン決勝」激闘ハイライト