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ティーム、フォニーニが“GOAT論”に見解「ジョコビッチが最強」「GSタイトル数が決定的な基準であるべき」<SMASH>

中村光佑

2023.02.07

フォニーニ(左)、ティーム(右)がジョコビッチ(中)らを巡るGOAT論に持論を展開した。(C)Getty Images

 長年にわたって世界のトップをひた走り、それぞれが四大大会で20勝以上を誇る男子テニスの「ビッグ3」、フェデラー、ナダル、ジョコビッチ。もはやテニス界に欠かせない存在である彼らを巡って、あらゆるテニスファンや識者を賑わせてきたのが、3人の中で誰が史上最高の選手なのかを決める「GOAT(Greatest of All Time)論」だ。

 それぞれのグランドスラム優勝回数は昨年9月のレーバー・カップで現役を退いたフェデラー氏が20回、そして先の全豪オープンで大会10度目の優勝を果たしたジョコビッチと、昨年6月の全仏オープンを制したナダルが最多タイの22回となっている。

 だが彼らはこれ以外にも幾多の輝かしい功績を残しており、GS優勝回数だけでGOAT論に終止符を打つことはできないのが現実だ。それでもこれまでは唯一無二の芸術的なプレースタイルで世界中のファンから愛され続け、"テニス界の英雄"とも称されるフェデラーがGOATの最有力候補に挙がることが多かった。

 だが先日クロアチアの無料放送テレビネットワーク『Nova TV』のインタビューに登場した元世界ランク3位のドミニク・ティーム(オーストリア/29歳/現96位)は、「グランドスラムでのタイトル数が史上最高の選手を決めるための決定的な基準であるべきだ」と主張し、四大大会優勝が20度のフェデラーはGOATから外れることになると示唆している。その真意については以下のように簡潔に説明した。
 
「他の大会を基準にしてもいいと思うけど、(価値として)同じものにはならない。グランドスラムこそがテニスのトーナメントの中で最も重要だ。おそらくそこで最も多くのタイトルを手にした者がGOATとなるだろう」

 またベテラン選手のファビオ・フォニーニ(イタリア/35歳/世界58位)も最近応じた母国のスポーツメディア『Corriere dello Sport』の取材でGOAT論に言及。「ビッグ3の中で一番愛されていない」ジョコビッチを「数字で証明する最強のプレーヤー」に選出しつつ、最後にはテニス界を牽引してきた3人のレジェンドを手放しに称賛した。

「彼(ジョコビッチ)にふさわしい形容詞を見つけるのは難しい。昨年は2つのグランドスラムと4つのマスターズ1000大会に出場できなかったのに、それでもATPファイナルズの出場権を獲得した。昨年の全豪であんなこと(オーストラリア入国問題)があったのに、彼はカムバックして、自分の足跡を残した。彼とロジャー(フェデラー)、ラファ(ナダル)がツアーを牽引し、スポーツの歴史を刻んだ」

 ファンの間でも多種多様な意見が飛び交うGOAT論。ティームとフォニーニ以外の現役選手がどのように考えているのかぜひとも聞いてみたいものだ。

文●中村光佑

【PHOTO】なかなか見られないティーム、ジョコビッチらトッププロの練習やテニス教室の様子