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海外テニス

悩めるシンデレラガール、ラドゥカヌに元五輪女王がアドバイス「SNSに集中しすぎないで」<SMASH>

中村光佑

2023.02.08

リオ五輪女王のプイグはラドゥカヌが不振を脱するカギとして、SNSと距離を置くことを挙げた。(C)Getty Images

リオ五輪女王のプイグはラドゥカヌが不振を脱するカギとして、SNSと距離を置くことを挙げた。(C)Getty Images

 2016年のリオ五輪テニス女子シングルスでプエルトリコ人選手として初の金メダルを獲得した元世界ランク27位のモニカ・プイグ氏(29歳/昨年6月に引退)が、イギリスのスポーツメディア『Sky Sports』のインタビューに登場。女子テニス界のニューヒロインとして大きな期待を寄せられている20歳のエマ・ラドゥカヌ(イギリス/世界80位)へ向け、「ソーシャルメディアに目を向けすぎない方が良い」とアドバイスを送った。

 2021年の全米オープンで予選から決勝まで1セットも落とさずに勝ち上がるという怒涛の快進撃を見せ、当時18歳にして四大大会初優勝を成し遂げたラドゥカヌ。ところが全米優勝以降はほとんど結果を残せておらず、現在も苦しい時期が続いている。先月出場した年内最初のテニス四大大会「全豪オープン」(オーストラリア・メルボルン/ハードコート)でも2回戦敗退に終わっていた。

 ここ1年ほどで5人のコーチに別れを告げるなど試行錯誤を繰り返しているラドゥカヌだが、プイグ氏は悩めるシンデレラガールを「とてつもなく才能のある選手」と絶賛。その一方で「彼女はツアー大会にあまり出場していなかった段階で全米のタイトルを獲得した。まだフルスケジュールで戦った経験はほとんどないはず」とも述べ、「体力的にはまだ若いけど、一人前になったとは言えない」と課題が山積みであることを指摘した。
 
 そんな中でプイグ氏がラドゥカヌに警鐘を鳴らしたのは「SNSとの向き合い方」についてだ。「自分を好きな人と嫌いな人が集まってくる」ソーシャルメディアでは無論批判の声も多く飛び交うため、ラドゥカヌのようなトップアスリートであってもメンタルやパフォーマンスに影響しかねないのは事実である。

 だからこそ同氏はソーシャルメディアの使用について「完全にやめるべきだとは言わない」としつつも、「フォーカスしすぎてはいけない」と提唱。「SNSは自身のブランド力を高めるための素晴らしいツールであることは周知の事実だけど、同時に毒にもなりうる。特にラドゥカヌのように、多くの人が彼女をフォローし、彼女に会ってみたいと思う人がたくさんいる選手にとっては、なおさらね」と続けた。

 最後にプイグ氏は、ラドゥカヌが以前のレベルを取り戻し、再び世界のトップに駆け上がるために必要なことをこう述べた。

「彼女は自分自身を確立し、自分にとって都合の良い方法でコントロールできれば、それが彼女の飛躍のきっかけとなり、本当に素晴らしいことを成し遂げられると思う。今はただ、1日1日を着実に過ごし、『自分がもう一度できる』と信じることね」

「彼女はただ落ち着いて、自分の居場所を見つけ、プレッシャーを取り除く必要がある。テニスを始めた理由を思い出すこと、スポーツを愛する気持ちを持ち続けることが最も重要だと思う」

 プイグ氏の助言がラドゥカヌの背中を押し、全米優勝時のような生きの良いプレーが戻ってくることを期待したい。まだ始まったばかりの今シーズンはどのような活躍を見せてくれるのか注目だ。

文●中村光佑

【PHOTO】全米OP初優勝!快挙を成し遂げたエマ・ラドゥカヌの2021年を特集!
 

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