海外テニス

元世界6位のシモンがジョコビッチとナダルを称賛!「フィジカルに問題があるとしてもレベルを維持できる」<SMASH>

中村光佑

2023.02.14

シモン氏(中)は現役時代、ジョコビッチ(左)とナダル(右)に1勝を挙げている。(C)Getty Images

 昨年11月に行なわれた男子テニスツアー「ロレックス・パリ・マスターズ」(フランス・パリ/ハードコート/ATP1000)を最後に現役を引退した元世界ランク6位のジル・シモン氏(フランス/38歳)が、ライブストリーミングプラットフォーム『Twitch』に出演。

 同郷のベテラン選手ガエル・モンフィス(36歳/元6位/現210位)と行なったトーク配信の中で、長年テニス界を牽引してきたラファエル・ナダル(スペイン/6位)とノバク・ジョコビッチ(セルビア/1位)のレジェンド2人を称賛した。

 とにかくよく粘るラリーで多くのファンを魅了したトップ10経験者のシモン氏は現役時代、ナダルには1勝8敗、ジョコビッチには1勝11敗といずれも大きく負け越した。だがそもそもこの2人の鉄人に太刀打ちできるプレーヤーは非常に少ないため、1度だけでも勝利を挙げているシモン氏は大いに称賛に値すると言えるだろう。

 今もなお、輝かしい功績を残し続けるナダルとジョコビッチが他の選手と大きく異なる点はどこにあるのか。中でも着目すべきなのは「フィジカルに問題があるとしてもレベルを維持できるところだ」とシモン氏は言う。そのうえでモンフィスに語りかけるかのようにこう続けた。
 
「君(モンフィス)は僕が深刻な身体の問題を抱えながら、四大大会の3回戦や4回戦まで勝ち上がってきたのを見たことがあるはずだ。ある年の全豪で僕は3回戦まで行ったが、その時は松葉杖をついて会場内を回っていた。つまりそれはもう僕が限界に達していたということだ。

 一方でラファとノバクはいつでもグランドスラムのチャンピオンになれるレベルにいることに他ならないが、自分の持っている力を70%しか発揮できなかったとしても、高いレベルを維持できる。彼らは身体に違和感がある時でもそういったビッグタイトルを獲得できるほど優秀だ」

 このシモン氏のコメントを裏付ける事例がある。ナダルは慢性的に痛めている左足に麻酔注射を打って臨んだ昨年6月の全仏オープンで当時史上最多となるグランドスラム22度目の優勝を達成。ジョコビッチは左太もものケガを押して出場した先月の全豪オープンで大会10度目の頂点に立ち、GS優勝回数でナダルと並んだ。

 依然として若手に引けを取らないパフォーマンスを見せているナダルとジョコビッチなら、今後もグランドスラムのタイトル数を伸ばしていく可能性は大いにある。彼らは一体どこまで進化を続けるのだろうか。この先もまだまだ世界中のファンを楽しませてくれることを期待したい。

文●中村光佑

【PHOTO】なかなか見られないシモンたちトッププロの練習やテニス教室の様子