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7カ月ぶりに戦線復帰のモンフィスが初戦敗退!「今の自分は何かを恐れている」<SMASH>

中村光佑

2023.03.10

復帰戦を勝利で飾れなかったモンフィスは選手としての自信を失いかけているようだ。(C)Getty Images

 現在開催中の男子テニスツアー「BNPパリバ・オープン」(アメリカ・インディアンウェルズ/ハードコート/ATP1000)は、現地3月8日にシングルス1回戦が行なわれ、右足首のケガでツアーを離れていた元世界ランク6位のガエル・モンフィス(フランス/現210位)が実戦に復帰。同87位のジョーダン・トンプソンに3-6、1-6のストレートで敗れ、待望の復帰戦を白星で飾ることはできなかった。

 昨年8月のカナダ・マスターズでカカトの負傷から3カ月ぶりのカムバックを果たすも、同大会の3回戦でジャック・ドレイパー(イギリス/現56位)と対戦した際に右足首を痛めて試合途中での棄権を余儀なくされたモンフィス。以降はトーナメントでプレーできず、同年10月末には早々にシーズン終了を発表した。

 懸命なリハビリに励んで順調な回復ぶりを見せていたモンフィスだったが、エントリーしていた今年1月のテニス四大大会「全豪オープン」は6カ月以上の戦線離脱を条件に付与されるプロテクトランキング(負傷離脱前のランキングで大会にエントリーできる救済措置)の取得を理由として出場を辞退。無事に同救済措置を得た36歳の名手は今回のBNPパリバ・オープンで約半年ぶりの復帰を果たした。

 だがこの日のトンプソンとの1回戦はブランク明けの影響から終始苦しい展開に。第1セットは第6ゲームまで互いにサービスキープが続くも、モンフィスは第7ゲームから4ゲームを連続で失い1セットダウン。迎えた第2セットではわずか1ゲームしか取れず、1時間4分で完敗を喫した。
 
 ケガ明けとはいえ、最後までいいプレーができなかったことにモンフィスは落胆の色を隠せなかった。試合後に応じた仏メディア『レキップ』のインタビューでは「キャリアの終わりが近いかもしれない」と発言。昨年10月に女子元世界3位で妻のエリーナ・スビトリーナ(現379位)との間に第1子(女児)が誕生して以降、大きな心境の変化があったことにも触れつつ以下のように続けた。

「目標は来年のパリ・オリンピックに出ることだけど、今の自分は何かを恐れている。もしまたケガをしたら、もう終わりだ。その時にキャリアの幕が閉じる。新しいステージにいることはわかっている。父親となったことですべてが変わり、家で過ごす時間が長くなり、普通の生活ができるようになった。正直なところ、(父親としての)その経験が気に入ったんだ」

 来週更新される世界ランキングでは274位に後退することが確定したモンフィス。まだまだテニスプレーヤーとして活躍したいという想いと、家族との時間を大切にしたいという想いが交錯している様子がうかがえるが…何とか気持ちを切り替えていってほしいものだ。

文●中村光佑

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