テニス四大大会のシングルスで18度の優勝を誇る元女子世界ランク1位のクリス・エバート氏(アメリカ/68歳)が欧米メディア『Eurosport』のインタビューに登場。度重なるケガでかつてない苦境に立たされている男子元世界王者ラファエル・ナダル(スペイン/現世界ランク9位)の「引退の可能性」について言及した。
直近8試合で2勝6敗と黒星が先行している36歳のナダルは、ディフェンディングチャンピオンとして出場した1月の全豪オープンでは左股関節を負傷。試合後には自身のSNSで「6~8週間ツアーを離れる」と発表し、現在開催中のBNPパリバ・オープン(3月8日~19日)と今月22日に開幕するマイアミ・オープンの米国マスターズ2大会の欠場も表明した。
これにより昨年のBNPパリバ・オープン準優勝で獲得した600ポイントを失効するナダルは、3月20日に更新される世界ランキングで2005年から約18年にわたって守り続けてきたトップ10からの陥落が確定。それでもナダルは2月28日に更新した自身のSNSで「ベストコンディションで復帰できるように準備を進めているところです」と1日も早いカムバックへ向けて前向きな言葉を綴っていた。
今回のインタビューでエバート氏は、昨年10月に父親となって以降「テニスの他にも何か別の視点や目標を持つようになった」と感じるナダルのフィジカルコンディションを心配するコメントを寄せた。
「ラファ(ナダル)は他の選手のように1年単位での大ケガはあまりしてこなかったけど、彼にとって今後最も重要なことは、良い体調を維持することだと思う。彼は常に真のファイターであり、トレーニングでも100%、試合でも100%の力を発揮してきたため、相当身体を酷使してきた。ラファは非常にタフな選手で、コートの後方から打っていって相手を崩すのがプレースタイル。加えて彼は長い間ボールを打ち続けてきた」
「彼は消耗が激しいから今後は単純なケガでは済まなくなり、もしかするとより頻繁にケガが起こる可能性もある。今後数年のうちに、ラファがスローダウンし始めるというのも無理はないかもしれない。私は誰かに引退してほしいわけではないけど、彼にケガがあることに加えて家族がいることを考えると、引退も驚くようなことではない。近年、ケガをするスピードが速くなっているのは、彼の身体がより簡単に壊れるようになったということだから」
現時点でナダルは4月から始まる得意のクレーシーズンでツアーに復帰する意欲を示しているが、過去14度の優勝を誇る大本命の全仏オープン(5月28日~6月11日)でも100%のテニスができるかどうかはケガの回復状況次第だろう。最後にはエバート氏も現在のナダルの状態を踏まえ、「クレーコートではより長い試合になる。全仏で頂点に立てるかが彼にとっての本当のチャレンジになるでしょうね」と締めくくった。
文●中村光佑
【連続写真】ヒジ主導でテイクバックしてパワーを生み出す、ナダルのフォアハンド
直近8試合で2勝6敗と黒星が先行している36歳のナダルは、ディフェンディングチャンピオンとして出場した1月の全豪オープンでは左股関節を負傷。試合後には自身のSNSで「6~8週間ツアーを離れる」と発表し、現在開催中のBNPパリバ・オープン(3月8日~19日)と今月22日に開幕するマイアミ・オープンの米国マスターズ2大会の欠場も表明した。
これにより昨年のBNPパリバ・オープン準優勝で獲得した600ポイントを失効するナダルは、3月20日に更新される世界ランキングで2005年から約18年にわたって守り続けてきたトップ10からの陥落が確定。それでもナダルは2月28日に更新した自身のSNSで「ベストコンディションで復帰できるように準備を進めているところです」と1日も早いカムバックへ向けて前向きな言葉を綴っていた。
今回のインタビューでエバート氏は、昨年10月に父親となって以降「テニスの他にも何か別の視点や目標を持つようになった」と感じるナダルのフィジカルコンディションを心配するコメントを寄せた。
「ラファ(ナダル)は他の選手のように1年単位での大ケガはあまりしてこなかったけど、彼にとって今後最も重要なことは、良い体調を維持することだと思う。彼は常に真のファイターであり、トレーニングでも100%、試合でも100%の力を発揮してきたため、相当身体を酷使してきた。ラファは非常にタフな選手で、コートの後方から打っていって相手を崩すのがプレースタイル。加えて彼は長い間ボールを打ち続けてきた」
「彼は消耗が激しいから今後は単純なケガでは済まなくなり、もしかするとより頻繁にケガが起こる可能性もある。今後数年のうちに、ラファがスローダウンし始めるというのも無理はないかもしれない。私は誰かに引退してほしいわけではないけど、彼にケガがあることに加えて家族がいることを考えると、引退も驚くようなことではない。近年、ケガをするスピードが速くなっているのは、彼の身体がより簡単に壊れるようになったということだから」
現時点でナダルは4月から始まる得意のクレーシーズンでツアーに復帰する意欲を示しているが、過去14度の優勝を誇る大本命の全仏オープン(5月28日~6月11日)でも100%のテニスができるかどうかはケガの回復状況次第だろう。最後にはエバート氏も現在のナダルの状態を踏まえ、「クレーコートではより長い試合になる。全仏で頂点に立てるかが彼にとっての本当のチャレンジになるでしょうね」と締めくくった。
文●中村光佑
【連続写真】ヒジ主導でテイクバックしてパワーを生み出す、ナダルのフォアハンド