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ダブルス初戦突破の加藤未唯!第2シードとの次戦に向け「明日は裏をかけたら…」とさらなる飛躍を目指す<SMASH>

内田暁

2023.03.13

第2シードのガウフ/ペグラと対戦することになった加藤未唯は。今季2度敗れている相手に3度目の正直を狙う。(C)Getty Images

 試合コートが変わるのを知ったのは、実際にコートに立つ10分前だったという。

 プレーヤーラウンジに慌ただしい気配が漂い、アリーナ・サバレンカの試合が相手の棄権でキャンセルになったことを知る。

 直後、自分たちの試合こそが、空いたコートに移ることを告げられる。

 場所は、世界で2番目に大きなテニス専用スタジアムの、BNPパリバ・オープン(アメリカ・インディアンウェルズ)のセンターコート。その大舞台で加藤未唯は、アルディラ・スチアディと組んだダブルス初戦で、マテックサンズ/フリプケンス組に6-2、6-0で完勝した。

 華やかなステージほど気持ちもプレーも上がる加藤にとって、急きょとはいえ、センターコートに入ったのは幸運だったろう。

「これだけ大きなコートで試合するのは初めてなので、うれしかった」の言葉通り、終始笑顔でコートを躍動。

 強風、昼夜の寒暖差、そして重いボールと、多くの選手が「難しい」とこぼす砂漠の町特有の環境にも、1週間の練習でアジャスト済み。相手は経験も実績も申し分のないベテランだが、運動量とショットの質でアジアペアが上回った。

「最近はショットの調子が良い」と気持ちよく勝ち進んだ先で、加藤/スチアディを待つのは、第2シードのガウフ/ペグラ。全豪オープン、そして先々週のドバイ選手権に続き、今季早くも3度目の対戦だ。
 
 相手は地元米国のペアな上に、ガウフは試合当日の3月13日が19歳の誕生日。アウェーとなるのは止む無しだが、戦うごとに差を詰めてきた加藤たちには、三度目の正直に期する思いが強い。

「ここのコートは弾むので、ガウフのサービスを破るのは難しい」と分析し、「ペグラのサービスをいかに攻略できるか」に焦点を当てる。

 さらには「リードしていても、一瞬でも気を抜くとパパっと流れを持っていかれる」という過去の経験から、「どんな時も気持ちを切らさない」と自分に言い聞かせた。

 そのうえで「どちらの選手も良いボールを打つが、特にガウフのポジションが良い」ことが、相手の強さの勘所だと見る。

「なので明日は、裏をかけたら……」

 意外性で言うならば、加藤はツアーでも屈指のエンターテイナー。

 その魅力が最大限に発揮された時、三度目の正直が実現に近づく。

現地取材・文●内田暁

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