海外テニス

ワクチン未接種で米国2大会欠場も「後悔はない」とジョコビッチ。しかし全米OPは「本当にプレーしたい」と切望<SMASH>

中村光佑

2023.03.23

ジョコビッチ(左)にとってメドベージェフ(右)と戦った2021年全米決勝は特に思い出深いという。今年の大会までに「状況が変わっていてほしい」との願いは通じるか?(C)Getty Images

 男子テニス世界ランク2位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)がアメリカの大手ニュースメディア『CNN』のインタビューに登場。新型コロナウイルスのワクチン未接種により2年連続で春の米国マスターズ2大会の欠場を余儀なくされたことについて言及し、自身の決断に後悔の念を抱いていないと明かした。

 先週行なわれた「BNPパリバ・オープン」(インディアンウェルズ)でプレーできなかったジョコビッチは、22日に開幕した「マイアミ・オープン」についても出場辞退を表明。3月20日に更新された世界ランキングでは、BNPパリバ・オープン初優勝を果たした19歳のカルロス・アルカラス(スペイン/大会時2位)に1位の座を明け渡した。

 ちなみにかねてからジョコビッチがワクチン接種を拒否し続けているのは「身体を気遣うため」という理由からだ。結果的にこれがアメリカ入国と米国シリーズ出場を阻んでしまったわけだが、それにもかかわらず35歳のレジェンドは「ワクチンを打たないと決断したことに後悔はしていない」と語る。そのうえでこう続けた。

「僕は人生を通して、後悔したら先に進めなくなってしまうということを学んだ。そして過去のことを(過度に)考えるようになる。でも僕はそんなことはしたくない。一方で未来のことを考えすぎるのも嫌なんだ。もちろん、(自分の)未来を良くするために将来のことは考えていくつもりだけどね」

「インディアンウェルズとマイアミでプレーできなかったのは残念だ。これらの大会は大好きだし、あの2つの舞台で僕はたくさんの成功を収めた。でも同時にそれ(ワクチンを打たないこと)は僕の意思で決めたことで、常に出場できない可能性があることはわかっていた」
 
 その後ジョコビッチはインディアンウェルズ初優勝で世界1位に返り咲いたアルカラスを祝福。「僕は彼におめでとうと言いたい。彼は絶対にナンバーワンに返り咲くのにふさわしいプレーヤーだ」とコメントした。

 その一方で約半年後の四大大会「全米オープン」(8月28日~9月10日/ハードコート)については「その時には状況が変わっていてほしい」と強調したジョコビッチ。同じくワクチン未接種で昨年の同大会欠場を強いられた経験を踏まえ、過去3度優勝を経験しているニューヨークへの思いをこう口にした。

「僕は本当に全米でプレーしたい。あの場所にいたい。2021大会のメドベージェフとの決勝で負けた時、おそらくニューヨークの観衆と過ごした最高の瞬間の一つとなった場面(劣勢で観客からの大声援を受けて涙を流したシーン)があった。僕は幸運にもあの場所で3度優勝し、何度も決勝を戦うことができた。その試合(21年大会決勝)では負けたけど、たくさんの愛と感謝の気持ちを抱いた試合だった。またあの場所に戻ってファンと再会したい。それは僕が楽しみにしていることだし、そうなることを願っているよ」

 とにかく2年ぶりの全米参戦には米国側が入国要件を緩和することが必須となる。今後の動向にファンからも注目が集まりそうだ。

文●中村光佑

【PHOTO】決勝を戦ったジョコビッチとメドベージェフをはじめ、全米オープン2021で活躍した選手たち!