男子テニスツアー「ロレックス・モンテカルロ・マスターズ」(4月9日~16日/モナコ・モンテカルロ/クレーコート/ATP1000)は、現地4月16日にシングルス決勝を実施。第5シードのアンドレイ・ルブレフ(ロシア/世界ランク6位)が、第6シードのホルガー・ルネ(デンマーク/同9位)を5-7、6-2、7-5の逆転で下し、悲願のマスターズ初優勝を飾った。
過去2度のマスターズ決勝では、いずれも敗れていたルブレフ。そのうちの1度は2021年のモンテカルロ決勝で、この時はステファノス・チチパス(ギリシャ/現3位)にストレートで屈していた。
1月のテニス四大大会「全豪オープン」でベスト8に進出するなど、新シーズン開幕から好調を維持しているルブレフだが、今回のモンテカルロでは、決して順調に勝ち上がってきたわけではなかった。初戦(2回戦)からフルセットマッチを強いられ、準決勝では悪天候による約1時間半の中断を挟んで、世界10位のテイラー・フリッツ(アメリカ)に逆転で勝利。苦しみながらも3度目のマスターズ決勝へと駒を進めていた。
この日の決勝でもルブレフは、苦手なバックハンドにボールを集められ、序盤から持ち前の攻撃的なテニスを発揮できない苦しい展開が続く。さらには計8本握ったブレークポイントのうち7本を逃してしまい、自身はルネに2度のブレークを許してセットダウンとなる。
トイレ休憩で気持ちを切り替えたルブレフは、第2セット開始直後の第1ゲームでブレークに成功。徐々に得意のフォアハンドで広角に打ち分ける場面が増え、ストローク戦でも主導権を確保する。ルネの度重なるミスにも助けられて計3度のブレークを奪い、勝負の行方はファイナルセットへと持ち込まれる。
第1ゲームから3ゲームを連取されて、再び厳しい状況に立たされたルブレフだったが、その後は我慢強いプレーでサービスキープを続けていく。すると第7ゲームでは、ルネの2本のダブルフォールトを活かす形で起死回生のブレークバック。ネットに出てきたルネの後方にポトリと落とす絶妙なロブを披露するなど、随所で好プレーも見せて流れをつかみ、第11ゲームで値千金のブレークを果たす。
サービング・フォー・ザ・チャンピオンシップとなった第12ゲームでも順調にポイントを重ね、最後はサービスエースを決めて勝利。2時間33分の激戦を制して初のビッグタイトルを獲得した。
見事に“3度目の正直”を成し遂げた25歳は、感極まった様子でオンコートインタビューに応じ、「涙が出たよ」とコメント。信じられないと言わんばかりの表情を見せながら「なんと言えばいいのかわからない。とても幸せだ。マスターズで勝つために、これだけ苦労してきた。ファイナルセットはゲームカウント1-4の第6ゲームで0-30になって、ブレークポイントをしのぎながらも、勝てる見込みはないと思っていた。でも、どうにか勝つことができた」と大いに喜びを表現した。
また試合を通して気持ちを強く保てたことが今回の優勝につながったというが、ルブレフは改めて本当に勝てるとは思っていなかったと強調する。「過去2度の決勝では心の準備ができていなかったし、負けているときに“もうチャンスはない”と思ってしまって精神的にダウンした。でも今日は最後まで自分を信じようと思った。ファイナルセットでは、逆転のチャンスがあることを期待して、それを実行しようとしたけど…なんということだろう」と最後まで驚きを隠しきれなかった。
これまではあと一歩のところでビッグタイトルを逃してきたルブレフ。だからこそこの優勝は今後の大きな自信につながることだろう。残りのクレーシーズンでもさらなる活躍を期待したい。
文●中村光佑
【PHOTO】全豪オープン2023でルブレフはじめ熱戦を繰り広げた男子選手たちの厳選写真!
過去2度のマスターズ決勝では、いずれも敗れていたルブレフ。そのうちの1度は2021年のモンテカルロ決勝で、この時はステファノス・チチパス(ギリシャ/現3位)にストレートで屈していた。
1月のテニス四大大会「全豪オープン」でベスト8に進出するなど、新シーズン開幕から好調を維持しているルブレフだが、今回のモンテカルロでは、決して順調に勝ち上がってきたわけではなかった。初戦(2回戦)からフルセットマッチを強いられ、準決勝では悪天候による約1時間半の中断を挟んで、世界10位のテイラー・フリッツ(アメリカ)に逆転で勝利。苦しみながらも3度目のマスターズ決勝へと駒を進めていた。
この日の決勝でもルブレフは、苦手なバックハンドにボールを集められ、序盤から持ち前の攻撃的なテニスを発揮できない苦しい展開が続く。さらには計8本握ったブレークポイントのうち7本を逃してしまい、自身はルネに2度のブレークを許してセットダウンとなる。
トイレ休憩で気持ちを切り替えたルブレフは、第2セット開始直後の第1ゲームでブレークに成功。徐々に得意のフォアハンドで広角に打ち分ける場面が増え、ストローク戦でも主導権を確保する。ルネの度重なるミスにも助けられて計3度のブレークを奪い、勝負の行方はファイナルセットへと持ち込まれる。
第1ゲームから3ゲームを連取されて、再び厳しい状況に立たされたルブレフだったが、その後は我慢強いプレーでサービスキープを続けていく。すると第7ゲームでは、ルネの2本のダブルフォールトを活かす形で起死回生のブレークバック。ネットに出てきたルネの後方にポトリと落とす絶妙なロブを披露するなど、随所で好プレーも見せて流れをつかみ、第11ゲームで値千金のブレークを果たす。
サービング・フォー・ザ・チャンピオンシップとなった第12ゲームでも順調にポイントを重ね、最後はサービスエースを決めて勝利。2時間33分の激戦を制して初のビッグタイトルを獲得した。
見事に“3度目の正直”を成し遂げた25歳は、感極まった様子でオンコートインタビューに応じ、「涙が出たよ」とコメント。信じられないと言わんばかりの表情を見せながら「なんと言えばいいのかわからない。とても幸せだ。マスターズで勝つために、これだけ苦労してきた。ファイナルセットはゲームカウント1-4の第6ゲームで0-30になって、ブレークポイントをしのぎながらも、勝てる見込みはないと思っていた。でも、どうにか勝つことができた」と大いに喜びを表現した。
また試合を通して気持ちを強く保てたことが今回の優勝につながったというが、ルブレフは改めて本当に勝てるとは思っていなかったと強調する。「過去2度の決勝では心の準備ができていなかったし、負けているときに“もうチャンスはない”と思ってしまって精神的にダウンした。でも今日は最後まで自分を信じようと思った。ファイナルセットでは、逆転のチャンスがあることを期待して、それを実行しようとしたけど…なんということだろう」と最後まで驚きを隠しきれなかった。
これまではあと一歩のところでビッグタイトルを逃してきたルブレフ。だからこそこの優勝は今後の大きな自信につながることだろう。残りのクレーシーズンでもさらなる活躍を期待したい。
文●中村光佑
【PHOTO】全豪オープン2023でルブレフはじめ熱戦を繰り広げた男子選手たちの厳選写真!