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「ヒジは理想的な状態ではない」世界王者ジョコビッチがケガについて現状報告「全てを計画することに疲れてしまった」<SMASH>

中村光佑

2023.04.18

右ヒジの状態について不安をのぞかせているジョコビッチは、最近抱いている自身の葛藤を明かした。(C)Getty Images

 現在開催中の男子テニスツアー「スルプスカ・オープン」(4月17日~23日/ボスニア・ヘルツェゴビナ・バニャ・ルカ/クレーコート/ATP250)に、第1シードで出場する世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)が、大会開幕前の記者会見に出席。心配されている右ヒジの状態について言及し、「あまり状況は良くない」と不安をのぞかせた。

 ジョコビッチは、先週クレーシーズン初戦として出場した「ロレックス・モンテカルロ・マスターズ」(モナコ・モンテカルロ/クレーコート/ATP1000)の3回戦で、21歳のロレンツォ・ムゼッティ(イタリア/大会時21位/現21位)に逆転負けを喫してベスト8進出を逃した。

 実はその試合では、右ヒジに黒のサポーターを付けてプレーしていたのだが、得意のサービスのスピードも上がらず、ストローク戦でも精彩を欠いたため、海外メディアやファンの間でも懸念の声が広がっていた。

 2017年にも同箇所に深刻なケガを負い、早々のシーズン終了を余儀なくされた経験を持つだけに心配は募るばかりだ。来月22日には36歳を迎えるだけに、ここにきて古傷が再発したとなるとなおさらである。

 そんな中で臨んだ今回の会見で、ジョコビッチは率直に「ヒジは理想的な状態ではない」とコメント。また現在の年齢を踏まえたうえで最近抱いているという自身の葛藤を次のように明かした。
 
「僕は約20年間プロ選手としてテニスをプレーしてきたが、次のことを考え、全てを計画することに疲れてしまっている。人は年齢を重ねていくと、今この瞬間に自分が存在していること、今を生きていることに感謝するようになるものだ。将来何が起こるかなんて、誰にもわからない」

「僕の最大の課題は、内なる疑念や不安と共に最高のパフォーマンスを発揮するためのバランスを見出すことだ。それは自分の(理想的な)レベルやリラックスした状態をトレーニングコートから試合のコートに移そうとするのが最も複雑なことであり、最高のレベルでそれができるのはごくわずかな選手しかいないという理由があるからだ」

 そう語りながらも故郷セルビアの隣国で今季から新設されたスルプスカ・オープンで王者の意地を見せ、1つでも多く勝ち上がりたいと意欲を示している。「最初の試合に向けて完全に準備が整うことを願っている。いま僕の思いはバニャ・ルカにある。ここに自分がいられることを楽しみたい」と語った。

 初戦となる2回戦では、1回戦で元世界3位のスタン・ワウリンカ(スイス/現84位)を逆転で破った18歳のルカ・バンアッシュ(フランス/87位)と対戦するジョコビッチ。

 会見の最後には「彼は若いファイターで、とても動きが速い。このコートコンディションで彼を破るのは難しく、誰しも彼を甘く見てはいけない」と期待の新鋭を警戒しつつも、「僕がコート上で楽しむのと同じように、みんなが試合を楽しんでくれることを願っている」とオープニングマッチへの意気込みを口にした。

文●中村光佑

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