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引退まで秒読みの元世界12位ロペス。最後のバルセロナは「緊張や色々な感情もあって」初戦敗退<SMASH>

中村光佑

2023.04.19

バルセロナでの最後のプレーを終え、ファンの歓声に応えるロペス。彼の雄姿が見られるのもあと数大会だ。(C)Getty Images

 現在開催中の男子テニスツアー「バルセロナ・オープン」(4月17日~23日/スペイン・バルセロナ/クレーコート/ATP500)は現地4月18日にシングルス1回戦が行なわれ、今季限りでの現役引退を表明している元世界ランク12位のフェリシアーノ・ロペス(スペイン/現593位)が登場。元世界7位のダビド・ゴファン(ベルギー/現99位)に6-7(3)、7-6(4)、0-6のフルセットで敗れ、2回戦進出を逃した。

 1997年のプロ転向以降、巧みなサーブ&ボレーと華麗な片手バックハンドで多くのファンを魅了し、ATPツアーでも7度のシングルス優勝を経験しているロペス。現時点で男子テニス史上最多となっている79大会連続でのグランドスラム(四大大会)本戦出場を含め数々の輝かしい功績を残してきた41歳の鉄人は、今年1月に自身のSNSで23年シーズンでの引退を正式に発表していた。

 2月末の段階でロペスは「引退までにワイルドカード(主催者推薦)で参戦する大会がいくつか決定している」と話していたのだが、そのうちの1つが今週母国で行なわれているバルセロナ・オープンである。

 その初戦で顔を合わせたのは元トップ10プレーヤーのゴファン。ロペスは計2度のブレークを許しながらも持ち前の気迫あふれるプレーで6ゲームオールに追いつき、第1セットからいきなりタイブレークに突入。ここではゴファンに3度のミニブレークを献上して1セットダウンとなる。

 再びシーソーゲームとなった第2セットでもタイブレークにもつれ込むと、4ポイント目でゴファンがフォアハンドのミスを犯し、ロペスが先にミニブレークに成功。その後も両者一歩も譲らない攻防が繰り広げられた中で何とかリードを守り切り、勝負の行方はファイナルセットへ。だがこの時点でエネルギーを使い果たしていたのか、第3セットのロペスはプレーに精彩を欠き、1ゲームも取れずに2時間16分で力尽きた。
 
 それでも試合後の会見ではキャリア最後となったバルセロナの舞台で思っていたよりもいいプレーができたと振り返り、誇らしげにこう語った。

「プレーの感覚自体はかなりいい感じだった。第3セットはかなり疲れていて、以前のようなレベルのプレーができなかったが、それを除けば、内容は良かったと思う。この大会に出場してコート上で競う力をつけるために、努力してきた甲斐があった。(2月に出場した)メキシコ・オープンでもここでも、結果はポジティブなものだった。ここでの最後の試合ということで、緊張もあったし、色々な感情もあって、それがフィジカルのレベルに影響した。第3セットでいいプレーができなかったのは残念だが、いい気分で大会を去ることができるよ」

 なお今後の予定についてロペスは「今のところは芝コートシーズンでプレーをするつもりだ」とコメント。詳細については次のように説明した。

「6月のマヨルカ選手権はワイルドカードが確定している。クイーンズ(シンチ選手権)とウインブルドンはワイルドカードを申請しているところだ。この3つの大会に出場して、そこでお別れをしたい。ウインブルドンでは、今年から3セット制になるダブルスもプレーするかもしれない。ただそれについてはペアが見つかるかどうかにもよるから、僕だけの問題ではない。その可能性があるというだけで、基本的にはシングルスをプレーしようと思う」

 端正な顔立ちでも人気を博したロペスのプレーが見られるのも、残りわずかだ。得意の芝シーズンで悔いを残すことなく花道を飾ってほしい。

文●中村光佑


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