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海外テニス

ジョコビッチが記した勝利後のカメラサインが国際問題に発展!批判の声に対して本人は「僕の信念だ」と反論<SMASH>

中村光佑

2023.06.02

ジョコビッチが全仏オープンのテレビカメラに記した政治的メッセージが大問題になっている。(C)Getty Images

ジョコビッチが全仏オープンのテレビカメラに記した政治的メッセージが大問題になっている。(C)Getty Images

 現在開催中のテニス四大大会「全仏オープン」の男子シングルスで3回戦進出を決めた世界ランク3位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)が、現地5月31日に行なわれた2回戦後の記者会見に登場。1回戦勝利後に勝者恒例のカメラサインで記した政治的メッセージが多大な批判を浴びていることについて言及し、「それが自分の信念だ」と反論した。

 海外メディア『UBITENNIS』によると、ジョコビッチは29日に実施されたシングルス1回戦でアレクサンダー・コバチェビッチ(アメリカ/114位)に勝利した直後に、中継カメラへ「コソボはセルビアの心臓だ。暴力はやめろ」と記した。実は同日にはバルカン半島中部のコソボでアルバニア系の市長が誕生したことに反発するセルビア系のデモ隊と北大西洋条約機構(NATO)の平和維持部隊による武力衝突が発生し、同部隊のメンバー30人が負傷したとの情報が入っていた。ジョコビッチのカメラサインはその事実を踏まえたものだったという。

 コソボは2008年に100カ国以上からの正式な承認を受けたうえでセルビアからの独立を宣言したのだが、セルビア側は約15年以上が経過した今もコソボの独立を認めていない。こうした背景からジョコビッチが記した「コソボはセルビアの心臓だ」という言葉がひときわ物議を醸しているわけだ。

 一連の報道を受け、仏政府のスポーツ担当大臣を務めるアメリー・ウデア=カステラ氏はフランスのテレビ局『France2』の取材で「(彼のメッセージは)過激かつ非常に政治的で、繰り返されてはならないことだ」とジョコビッチを批判。またコソボテニス連盟のジェトン・ハデルジョナージ会長は、ジョコビッチに対して「何らかの制裁を課すことを要求する」とし、以下のような声明を発表している。
 
「彼のような有名人がこのような大規模の大会でああいったメッセージを発するのは、有益なことではない。1カ月前にはとあるバスケットボールの試合で、観客が『コソボはセルビアのものだ』と叫んでいた。彼(ジョコビッチ)はそのようには叫ばなかったが、彼もコソボがセルビアの領地であることを支持するかのように、手を振るジェスチャーをしていた。(そうした事実も踏まえ)我々は今回のカメラサイン騒動に反応しなければならない。我々はATP(男子プロテニス協会)、ITF(国際テニス連盟)、フランステニス連盟に対し、ジョコビッチ選手に制裁と罰金を科すよう要請するつもりだ」

 だが当のジョコビッチは非難の声が多々寄せられていることにも特に意に介していない様子を見せている。31日の全仏2回戦でマートン・フチョビッチ(ハンガリー/83位)に勝利したジョコビッチは試合後の会見で、「もちろん多くの人が僕に賛同しないことはわかっているが、それならそれでいい。僕の信念なんだ。それだけのことだ」とのコメントを残した。

 カメラサイン騒動の収束が見込めない中で四大大会最多となる23度目の優勝を狙うジョコビッチ。現地6月2日に行なわれる3回戦では、第29シードのアレハンドロ・ダビドビッチフォキナ(スペイン/34位)と対戦する。

文●中村光佑

【PHOTO】全仏オープン2023で奮闘するジョコビッチら男子選手の厳選写真!
 
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