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第4シードのルバキナがウイルスによる体調不良で全仏3回戦を棄権「走るのも、呼吸をするのも難しい」<SMASH>

中村光佑

2023.06.04

打倒シフィオンテクの有力候補だったルバキナだが、体調を崩して全仏3回戦を回避した。「残念だけど、それが人生だと思う」と心情を吐露。(C)Getty Images

 現在開催中のテニス四大大会「全仏オープン」の女子シングルスで2回戦を突破していた第4シードのエレーナ・ルバキナ(カザフスタン/世界ランキング4位)が、現地6月3日に予定されていたサラ・ソリベストルモ(スペイン/同132位)との3回戦を体調不良により棄権した。

 昨年7月のウインブルドンで悲願の四大大会初優勝を飾った23歳のルバキナは、今年も2週間前の「イタリア国際」で2度目のWTA1000大会優勝を果たすなど好調を維持していた。優勝候補の一角と目されていた今回の全仏でもブレンダ・フルビルトワ(チェコ/146位)との1回戦、リンダ・ノスコワ(チェコ/50位)との2回戦をいずれもストレートで勝利し、順調に3回戦へと勝ち進んでいた。

 だがここまで順風満帆だったルバキナにまさかの結末が待っていた。WTA(女子テニス協会)の公式サイトによると、3日に記者会見を開いたルバキナは「昨日(2日)、一昨日(1日)と体調が悪くて2晩も眠れず、熱と頭痛があった」ことを理由に、3回戦の棄権を正式に発表。「プレーをするのはもちろん、走るのも、呼吸をするのも難しい。棄権が唯一正しい判断なのだと思う」と説明した。

 またルバキナは体調不良に見舞われてからすぐに医師の診察を受けたとコメント。検査結果については「パリに来てからウイルスにかかったことが全ての原因だと言われた。私のアレルギーのせいで免疫力が低下し、何か悪いものを拾ってしまったのだと思う」と報告している。
 
 今大会は前回覇者のイガ・シフィオンテク(ポーランド/世界1位)と共にトップハーフに入っていたルバキナ。2人は順当に勝ち上がれば準決勝で対決が実現することになっていた。

 実は両者は今季だけで3度顔を合わせているのだが、いずれも勝利していたのはルバキナだった(うち1度はシフィオンテクの途中棄権)。全仏で類まれなる強さを誇るシフィオンテクにも相性が良いことを踏まえると、決勝進出はもちろん優勝のチャンスも十分にあっただろう。それだけにこのような形で大会を去らなければならないのは心底つらいはずだ。

 それでもルバキナは全仏閉幕直後に始まる得意の芝シーズンに向けて前を向いている。

「もちろん、プレーできなくなったのはとても残念だけど、それが人生だと思う。今日は100%の力を出したかったけど、(3回戦に)出場できていたとしても明らかに100%には程遠い。私にとっては不運だった。とにかく回復に努め、芝のシーズンに向けてベストを尽くすだけね」とポジティブな言葉で会見を締めくくった。

文●中村光佑

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