現在開催中の男子テニスツアー「リベマ・オープン」(6月12日~18日/オランダ・スヘルトーヘンボス/グラスコート/ATP250)は、大会初日の現地6月12日にシングルス1回戦が行なわれ、ケガにより長らくツアーを離れていた元世界ランク3位のミロシュ・ラオニッチ(カナダ)が約2年ぶりに実戦に復帰。第5シードのミオミル・ケツマノビッチ(セルビア/世界39位)を6-3、6-4のストレートで退け、見事復帰戦で白星を飾った。
2021年にふくらはぎを負傷し、同年7月の「アトランタ・オープン」(ATP250)2回戦で敗退して以降は戦線を離脱していたラオニッチ。今週のリベマ・オープンにはプロテクトランキング(負傷離脱前のランキングで大会にエントリーできる救済措置)33位を行使してエントリーし、予定通り待望のカムバックを果たした。
ラオニッチといえば16年のウインブルドンで自身初の四大大会決勝進出を果たすなど芝のサーフェスでとりわけ強さを発揮してきた。そうはいっても離脱期間が600日以上にも及んだだけに、いきなり復帰初戦で勝利すると予想した人は少なかったはずだ。
だがこの日の試合ではラオニッチが約2年ものブランクを全く感じさせない圧巻のパフォーマンスを披露する。試合開始直後の第1ゲームでブレークに成功すると、以降は持ち前の強烈なサービスを軸にポイントを量産。第3ゲームでブレークバックを許すも第8ゲームで値千金のブレークを果たして第1セットを先取する。
第2セットに入ってからもラオニッチの勢いは衰えない。第1セット同様またしても第1ゲームでブレークを奪うと、その後はスムーズにサービスをキープ。ファーストサービスが入った時のポイント獲得率が92パーセントを記録するなど、終始安定した試合運びを見せて勝利を収めた。
完全復活に向けて最高のスタートを切ったカナダテニス界の名手は、試合後のオンコートインタビューで苦しかった時期を振り返り、「ケガの回復は思うように進まなかった」とコメント。だからこそ無事ツアーに復帰できたことにこの上ない喜びを感じていると感慨深げに語った。
「人前でプレーできるのは、本当にうれしい。離脱期間のうちの1年間は1個のボールも打てなかったのに、今はこうして大勢の人の前でプレーできる。ただ、かなり緊張したね。大勢の観客の前でプレーする感覚を忘れていた。正直に言うと、今日は誰も見ていないコートでプレーしていたら、もう少し楽だったかもしれないね。
今は一日一日を大切に過ごしている。何もできない時は、少し胸が痛むこともあった。だから再びコートに戻ってこられてうれしいよ。コートに立ってプレーするチャンス、(ライバルたちと)競争するチャンス、自分のやるべきことに打ち込むチャンス、そして、それらが自分をどこまで導いてくれるかを知るチャンスを得ることができた」
勝利したラオニッチは続く2回戦で、ジョーダン・トンプソン(オーストラリア/103位)と予選勝ち上がりのジョバンニ・ムペツイ・ペリカール(フランス/233位)の勝者と対戦する。次戦もどんなプレーを見せてくれるのか注目だ。
文●中村光佑
【PHOTO】ラオニッチはじめ全豪オープン2021で躍動するトッププロを厳選ショットで紹介!
2021年にふくらはぎを負傷し、同年7月の「アトランタ・オープン」(ATP250)2回戦で敗退して以降は戦線を離脱していたラオニッチ。今週のリベマ・オープンにはプロテクトランキング(負傷離脱前のランキングで大会にエントリーできる救済措置)33位を行使してエントリーし、予定通り待望のカムバックを果たした。
ラオニッチといえば16年のウインブルドンで自身初の四大大会決勝進出を果たすなど芝のサーフェスでとりわけ強さを発揮してきた。そうはいっても離脱期間が600日以上にも及んだだけに、いきなり復帰初戦で勝利すると予想した人は少なかったはずだ。
だがこの日の試合ではラオニッチが約2年ものブランクを全く感じさせない圧巻のパフォーマンスを披露する。試合開始直後の第1ゲームでブレークに成功すると、以降は持ち前の強烈なサービスを軸にポイントを量産。第3ゲームでブレークバックを許すも第8ゲームで値千金のブレークを果たして第1セットを先取する。
第2セットに入ってからもラオニッチの勢いは衰えない。第1セット同様またしても第1ゲームでブレークを奪うと、その後はスムーズにサービスをキープ。ファーストサービスが入った時のポイント獲得率が92パーセントを記録するなど、終始安定した試合運びを見せて勝利を収めた。
完全復活に向けて最高のスタートを切ったカナダテニス界の名手は、試合後のオンコートインタビューで苦しかった時期を振り返り、「ケガの回復は思うように進まなかった」とコメント。だからこそ無事ツアーに復帰できたことにこの上ない喜びを感じていると感慨深げに語った。
「人前でプレーできるのは、本当にうれしい。離脱期間のうちの1年間は1個のボールも打てなかったのに、今はこうして大勢の人の前でプレーできる。ただ、かなり緊張したね。大勢の観客の前でプレーする感覚を忘れていた。正直に言うと、今日は誰も見ていないコートでプレーしていたら、もう少し楽だったかもしれないね。
今は一日一日を大切に過ごしている。何もできない時は、少し胸が痛むこともあった。だから再びコートに戻ってこられてうれしいよ。コートに立ってプレーするチャンス、(ライバルたちと)競争するチャンス、自分のやるべきことに打ち込むチャンス、そして、それらが自分をどこまで導いてくれるかを知るチャンスを得ることができた」
勝利したラオニッチは続く2回戦で、ジョーダン・トンプソン(オーストラリア/103位)と予選勝ち上がりのジョバンニ・ムペツイ・ペリカール(フランス/233位)の勝者と対戦する。次戦もどんなプレーを見せてくれるのか注目だ。
文●中村光佑
【PHOTO】ラオニッチはじめ全豪オープン2021で躍動するトッププロを厳選ショットで紹介!