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伝統を重んじるウインブルドンが“線審自動化導入”を示唆!「そのようなことは将来的に検討されるだろう」<SMASH>

スマッシュ編集部

2023.06.23

男子ツアーでは2025年から線審完全自動化が決まっているが、伝統を重んじるウインブルドンも線審自動化に向けて舵を切りつつあるようだ。(C)Getty Images

 時速200キロを超えるボールがコートに着地する瞬間を肉眼で判定する線審。その判断を巡ってはコート上で問題となることも度々ある。そうしたトラブルをなくし、トーナメント、試合コート、サーフェス(コートの種類)における正確性と一貫性の最適化を可能とするのが、AIを用いた「線審自動化」である。

 すでにテニス四大大会のうち「全豪オープン」や「全米オープン」では人間による線審は廃止されており、それ以外の大会でも段階的に線審の自動化が進んでいる。

 ATP(男子プロテニス協会)では、2025年までに全てのツアーに於いて線審の自動化を計画しており、アンドレア・ガウデンツィATP会長は「私たちには革新的な技術や新しいテクノロジーを受け入れる責任がある。私たちの競技は最も正確な判定を必要としている」と語っている。

 こうした自動化の動きに対して伝統を重んじるウインブルドンは当初「人間による線審を廃止し、AIを用いた線審の自動化導入は考えていない」と否定していた。だが、他の四大大会(全豪と全米)で線審自動化が結果を残していることを踏まえ、現在は方針の転換を検討しているという。
 
 ウインブルドンのテクノロジー担当ディレクターであるビル・ジンクス氏は「2023年大会では間違いなく人間による線審は存在する」としながらも、「将来何が起こるかは誰にもわからない」という。

 そして「最新テクノロジーを用いてラインコール技術が変わったのはいいこと。私たちは、2007年からチャレンジシステム(ビデオ判定)を使っていて、今のところうまくいっている。ATPの計画発表で何が起こっているかは見てきたし、そのようなことは将来的に検討されるだろう」と線審自動化の可能性を否定しない。

 また同氏は「選手たちはどちらのシステムにも慣れていると思う。最近は判定を巡って試合後にチェックを求められることもほとんどない。選手たちは判定技術の発展を受け入れている」とも語る。

 出場選手に対して「白を基調とした厳しいドレスコード」が存在するなど伝統を重んじるウインブルドン。その芝のコートから個性的なユニホームを着た線審の姿が見られなくなる日は来るのか。ちなみにウインブルドンの公式HPによれば、今大会期間中は650試合以上が実施され、327名の線審が活動するという。

構成●スマッシュ編集部

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