現在開催中の女子テニスツアー「ウェスタン＆サザン・オープン」（８月14日～20日／アメリカ・シンシナティ／ハードコート／WTA1000）のシングルス準々決勝で敗退した世界ランク５位のオンス・ジャバー（チュニジア）が試合後の記者会見に登場。今年のシーズン最終戦「WTAファイナルズ」（ハードコート）に関する十分な情報を得られていないことに不快感を示した。

　年間総ポイント数のランキングにおける上位８人が２つのグループに分かれ、各グループの上位２人が最終ステージに進む同大会。2019年～28年の10年間は中国・深圳が開催権を確保しているが、21年大会は新型コロナウイルスの感染拡大を理由にメキシコ・グアダラハラで実施された。

　さらには昨年大会も深圳から米テキサス州フォートワースに開催地を変更。これは21年12月にダブルスの元世界女王ペン・シューアイ（中国／37歳）が中国政府高官からの性的暴行を告発した騒動に伴い、WTA（女子テニス協会）がこれまでに同国で開催してきたツアー公式戦を全て中止したことによるものだった。しかし今年４月に同協会はペンをめぐる一連の騒動に表立った進展が見られない状況を考慮し、「９月から中国国内でのツアートーナメントを再開する」と正式に発表していた。

　だが海外メディア『UBITENNIS』によれば、開幕まで約２か月に迫っている今年のファイナルズについては未だに詳細情報が提供されていないという。さらにはWTAの公式サイトでも大会日程を含めファイナルズの開催概要は公表されておらず、舞台が深圳に戻るかどうかもまだ明らかになっていないのだ。
  『UBITENNIS』では今年の大会も近年テニスへの財政投資に積極的な姿勢を見せているサウジアラビアで開催される可能性がある旨を伝えているが、それに関しても単なる噂にすぎないようだ。

　混乱を極めている状況を踏まえ、レースランキングで現在６位と２年連続の最終戦出場を視界に捉えているジャバーは、「ファイナルズの詳細がわかっていないことにフラストレーションがたまっている」と不満を吐露。さらに以下のように続けた。

「イライラするわ。（最終戦について）何が起こっているのか、なぜまだ詳細がわかっていないのか、その理由がわからない。私たちは情報を待っているのよ。いくつかの都市が候補になっていると聞いたけど、それがどこかもわからない。サウジアラビアという話もあるみたいで、状況がよくわからないわ」

　ちなみにWTAが最終戦の情報をギリギリまで公表しないのは、今回が初めてではない。昨年11月のフォートワース大会についても、ペンの一件やコロナの感染状況により詳細が発表されたのは開幕２か月前の９月だった。選手たちの不安を解消するためにも、できる限り早めに詳細情報が更新されることを願いたい。

文●中村光佑

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