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海外テニス

【伊達公子】全米オープンのハードコートと結果を出せる選手の特徴。アメリカ人が強い理由<SMASH>

伊達公子

2023.09.01

「空気感に飲まれるのではなく、乗っていけるタイプ」が活躍しやすいと言う伊達公子さん。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

「空気感に飲まれるのではなく、乗っていけるタイプ」が活躍しやすいと言う伊達公子さん。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

 現在開催されている全米オープンテニスのサーフェスはハードコートです。ハードコートには色々と種類がありますが、全米オープンは2020年から『レイコールド』というサーフェスになりました。

 私がプレーしていた時は『デコターフ』で、同じハードコートの中でも速めでしたが、今はその時よりは少し遅くなっているかもしれません。全米オープンのオフィシャルボールは軽くてよく飛ぶウイルソンなので、その組み合わせもあり、速い印象があります。

 ハードコートは人工物なので、自然の芝やクレーコートと比較して、イレギュラーは基本ありません。そして、コートの反発力を使えるため、筋力のあるプロ選手だと切り返しのフットワークのスピードが速くなります。打つボールにもよりますが、一般的にクレーほど跳ねず、芝のように滑りません。

 クレーコートではコートと時間をうまく使える選手が強いですが、ハードコートでは展開の早さと攻撃力のある選手が適しています。あとは、一発でポイントを終わらせるショットを持っている選手も強いですね。

 ハードコート好きはアメリカの選手に多いです。ハードコートの数も多く、ジュニアの頃からプレーして慣れているからでしょう。日本人選手にとっては、クレーよりは戦えるサーフェスだと言えます。
 全米オープンではエンターテインメント性が高いため、雰囲気に乗って戦える選手も活躍しやすいですね。空気感に飲まれるのではなく、乗っていけるタイプであること。つまり、観客を味方に付けられるかどうかです。だから、地元のアメリカ人選手が結果を出しやすいのです。

 他の大会よりも、観客が母国のアメリカ人選手を強く応援する傾向にあるため、対戦相手がアメリカ人選手の場合、応援が激しくなるような内容になると厳しいですね。例えば、自分がリードしていたのにファイナルに持ち込まれたというような状況になると、空気感を一気に持っていかれてしまいます。そういう展開になる前に勝ち切れるようにしなくては、苦しい展開になってしまいます。

文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン

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