専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
国内テニス

伊達公子、杉山愛らのJWT50が創設したITF札幌大会を終えて。ジュニアたちの意識や態度が変わってきた!<SMASH>

内田暁

2023.08.23

札幌で今年から始まった「アスアスラボ国際チャレンジカップ」。伊達公子、杉山愛らが立ち上げたJWT50が、世界への足掛かりとなるよう新設した。写真:JWT50、中村彰

札幌で今年から始まった「アスアスラボ国際チャレンジカップ」。伊達公子、杉山愛らが立ち上げたJWT50が、世界への足掛かりとなるよう新設した。写真:JWT50、中村彰

「この3週間で、若い選手たちは技術的にもメンタル的にも成長しました。そこが最初から、3週間連続でやることの意義だったので、それをしっかりと見られたのは大きな収穫だったかなと思います」

 よく日に焼けた表情を幾分ほころばせ、伊達公子が振り返る。

 去る7月下旬から8月中旬にかけて、北海道札幌市にて「アスアスラボ国際チャレンジカップ supported by JWT50」と銘打ち開催された、3週連続のITFツアーW15大会。その開催・運営を企画したのは、伊達を筆頭とした日本女子テニス界の“レジェンド”たちであった。

「ITF W15」とは、賞金総額15,000ドルの国際テニス連盟公認大会。ランキングポイントが獲得可能な大会群の中で最もグレードが低い、いわば、プロへのとば口だ。

 そして注目すべきは、この大会を運営する“JWT50”である。これは“Japan Women's Tennis Top50 Club”の略。シングルス世界4位に達した伊達と、単8位、複1位の杉山愛らが発起人となり、世界ランキングトップ50を記録した日本女子テニス選手により結成された、OG会的組織だ。
 
 その目的と大義は、「女子テニス界の活性化と、若手選手の強化」にある。1990年代には、グランドスラム本戦に10人近くの選手が出場したほどに隆盛を極めた日本女子テニスだが、現在、シングルストップ100にいるのは、日比野菜緒のみ。

 その日比野も今年11月で29歳になる。若手の育成と裾野の拡大は急務。その危機感が、伊達ら往年のトップ選手たちをJWT50発足へと駆り立てた。水面下では2020年から動き始め、正式な発足に至ったのは昨年の4月。当時のメンバーは8名で、昨年9月には、引退して間もない奈良くるみが加わった。

 JWT50結成に向けて動き出した当時、具体的に何をすべきかについては、オンライン等で幾度もミーティングが重ねられたという。文字通りの「涙あり、笑いあり」のアツい意見交換の中で、ジュニア指導にあたっている神尾米や中村藍子がふとこぼしたのが、「今、日本に15,000ドルの大会がないんですよね」というリアルな現実だった。

 先述したように、W15は世界へのとば口。この大会で初の“ランキングポイント”を手に入れ、世界ランカーとなり、次なるステージへと進んでいくのが標準的プロへの順路である。

 そのプロへの入り口が、数年前の時点で、日本には存在しなかった。苦境に追いやられたのはプロ予備軍で、スタートラインに立つその前段階で、海外遠征が必要となる。間口は狭まり敷居が高くなったのは、必然だ。
 
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号