現在戦列を離れている男子テニス元世界ランク1位のラファエル・ナダル(スペイン/現237位)が母国のテレビ局『Movistar Plus』のインタビューに回答。先日の全米オープンでノバク・ジョコビッチ(セルビア/現1位)が前人未到の四大大会24勝目を飾ったことを受け、自身のキャリアにおいては「記録は最優先事項ではなかった」と明かした。
四大大会22勝をはじめ、幾多の輝かしい功績を収めてきた37歳のナダルは、今年1月の全豪オープンで左股関節を負傷して以降ツアーに出場していない。対照的に長年のライバルである36歳のジョコビッチは未だ衰え知らずの強さを見せ、今季は全米を含む四大大会3つを制覇。先週には約3か月ぶりの世界ランク1位に返り咲き、歴代最多記録を更新する8度目の年間1位も視野に捉えている。
同年代の好敵手に四大大会優勝回数で先行されたナダルは「もちろん自分も史上最多のグランドスラムタイトルを獲得したテニス選手になりたかった。それについては疑いの余地はない。それがスポーツというもので、可能な限りは最高のプレーヤーになろうとするものだ」と本音を語る。
その一方でナダルは「記録にそこまで固執してきたわけではない」とも言う。
「僕にとって四大大会のタイトル数で1番になることが強迫観念になっていたかと言われれば、そうではない。それが達成できなかったとしても不満を抱いたりはしないし、人生で常に不満を抱くわけでもない。そのように考えるシンプルな理由が1つある。物事をできる限りうまく進めるために、できることは全てやってきたと思っているからだ」
結果がどうであれ自分のベストを尽くすことを優先してきたというナダル。常に最高の結果を求め続けるジョコビッチと自身の「テニスに対する姿勢やキャラクター」には違いがあるとして、以下のように続けた。
「ノバクは何事にも熱心に取り組んでいる。僕よりもシビアに生きていると思う。彼がそれ(四大大会最多優勝)を達成できなかったら、もっと大きなフラストレーションを感じていただろう。そういう考えを持っているからこそ、彼は最高の選手なのだと思う」
「僕も野心的な人間だったと思うが、僕の場合は“健全な野心”によって、コート上で物事がうまくいかなかった時にイライラしたり、必要以上に怒ったりすることなく、物事を大局的に見ることができた。それが僕の生き方だ。文化は異なり、選手や国ごとに異なるスタイルで経験を積んでいる。僕は今言ったような感じで生きてきて、僕自身はそれに満足している」
一見するとナダルのコメントは、ジョコビッチの野心は健全でなく、コート上で悪態をつくと言っているようにも捉えられるため、SNS上では批判と擁護の声が交錯しているようだ。ただこれについては、ツアーでジョコビッチと60回近く対戦しているナダルならではの独特な考えと言えるかもしれない。そこには彼ら2人にしかわからない関係性が築かれているのだろう。
文●中村光佑
【全米オープン2023 PHOTO】四大大会通算24回目の優勝を果たしたノバク・ジョコビッチの厳選フォト!!
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【PHOTO】優勝のナダルはじめ、全仏オープン2022で活躍した男子選手たちの厳選PHOTO!
四大大会22勝をはじめ、幾多の輝かしい功績を収めてきた37歳のナダルは、今年1月の全豪オープンで左股関節を負傷して以降ツアーに出場していない。対照的に長年のライバルである36歳のジョコビッチは未だ衰え知らずの強さを見せ、今季は全米を含む四大大会3つを制覇。先週には約3か月ぶりの世界ランク1位に返り咲き、歴代最多記録を更新する8度目の年間1位も視野に捉えている。
同年代の好敵手に四大大会優勝回数で先行されたナダルは「もちろん自分も史上最多のグランドスラムタイトルを獲得したテニス選手になりたかった。それについては疑いの余地はない。それがスポーツというもので、可能な限りは最高のプレーヤーになろうとするものだ」と本音を語る。
その一方でナダルは「記録にそこまで固執してきたわけではない」とも言う。
「僕にとって四大大会のタイトル数で1番になることが強迫観念になっていたかと言われれば、そうではない。それが達成できなかったとしても不満を抱いたりはしないし、人生で常に不満を抱くわけでもない。そのように考えるシンプルな理由が1つある。物事をできる限りうまく進めるために、できることは全てやってきたと思っているからだ」
結果がどうであれ自分のベストを尽くすことを優先してきたというナダル。常に最高の結果を求め続けるジョコビッチと自身の「テニスに対する姿勢やキャラクター」には違いがあるとして、以下のように続けた。
「ノバクは何事にも熱心に取り組んでいる。僕よりもシビアに生きていると思う。彼がそれ(四大大会最多優勝)を達成できなかったら、もっと大きなフラストレーションを感じていただろう。そういう考えを持っているからこそ、彼は最高の選手なのだと思う」
「僕も野心的な人間だったと思うが、僕の場合は“健全な野心”によって、コート上で物事がうまくいかなかった時にイライラしたり、必要以上に怒ったりすることなく、物事を大局的に見ることができた。それが僕の生き方だ。文化は異なり、選手や国ごとに異なるスタイルで経験を積んでいる。僕は今言ったような感じで生きてきて、僕自身はそれに満足している」
一見するとナダルのコメントは、ジョコビッチの野心は健全でなく、コート上で悪態をつくと言っているようにも捉えられるため、SNS上では批判と擁護の声が交錯しているようだ。ただこれについては、ツアーでジョコビッチと60回近く対戦しているナダルならではの独特な考えと言えるかもしれない。そこには彼ら2人にしかわからない関係性が築かれているのだろう。
文●中村光佑
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