海外テニス

思い出の有明コロシアムで土居美咲の引退セレモニー。「テニスに全力を尽くせたのは誇り」と15年の競技生活を回顧<SMASH>

渡辺隆康(スマッシュ編集部)

2023.09.30

引退セレモニーで花束と記念の額を贈られ、笑顔を見せる土居美咲。写真:田中研治(THE DIGEST写真部)

 東京・有明テニスの森公園で開催されている国際大会「東レ パン パシフィック オープンテニス2023」(9月25日~10月1日/ハードコート/WTA500)。9月30日には今大会限りで現役を引退した元世界ランク30位、土居美咲(現331位/32歳)の引退セレモニーが行なわれた。

 土居はキャリアの締めくくりとして臨んだ今大会、予選を突破して本戦1回戦で格上のペトラ・マルティッチ(クロアチア/49位)を7-5、6-2で撃破。2回戦で世界6位のマリア・サッカリ(ギリシャ)に3-6、1-6で敗れ、約15年に及んだ競技者生活に幕を引いた。

 シングルス準決勝終了後、思い出深いコロシアムのコート上に登場した土居。いつものテニスウェア姿とは違い、水色のシャツに白いパンツという爽やかないでたちがひときわ目を引く。特別協賛の東レ(株)・大矢光雄代表取締役社長や関係者から花束・記念品を受け取った後、長年の盟友である奈良くるみさんから、はなむけの言葉を贈られた。

「みっちゃん」と親しく呼びかけた奈良さん。「昨年から腰に苦しんでいた姿を見ていたので、こうやってベストを尽くす姿を見て、本当にかっこ良かったし感動しました。私たちは13歳から共に世界で戦ってきましたが、去年は私が、今年は美咲がここで引退して、こういう大きな日本の大会で引退できたことは誇りだと思います」と、互いのテニス人生を振り返りながら、ねぎらいの言葉をかけた。
 
 続いて土居がマイクを手にし、お別れのメッセージ。「ジュニアの頃から長いことテニスに全力を尽くすことができたのが自分にとって誇りですし、こういう場に最後に立てたのがすごくうれしいことです」と今の心境を語った。

 続けて「引退を決めてから3か月間、自分としてはかなり苦しい時間を過ごして、練習もままならない日も正直あったり、このコートの舞台に立てないんじゃないかと思った時期もありました」と、ギリギリの状態で今大会を迎えたことを告白。

 周囲の支えによって何とか出場にこぎつけた結果、「引退を決めた時には想像もしていなかったようなプレーを出すことができ、最後にはサッカリ選手という素晴らしい世界のトップと試合ができたことは本当に誇りです」とラストマッチを振り返った。

 今後については「現役選手としての活動は終わってしまいますが、何かしらの形でテニスに携われていけたらと思っています」と、テニス界への貢献を約束した土居。最後はファンへの感謝を込めてサインボールの打ち込みを行ない、万雷の拍手に送られてコートを去った。

取材・文●渡辺隆康(スマッシュ編集部)

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