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入れるだけでなくしっかり跳ねる田沼諒太のスピンサービス。鍵はトスの位置にあり!【プロが明かすテニス上達法】<SMASH>

スマッシュ編集部

2023.10.08

体幹の反り戻しを使いながら、頭の上ぐらいでヒット(5コマ目)。打点を背中の方にしすぎない方が反り戻しの幅を広く取れて、威力が出ると田沼諒太選手は語る。写真:THE DIGEST写真部

 プロテニス選手は、高度なショットをいとも簡単に叩き込む。なぜあんなボールが打てるのか? その秘訣をプロ本人に明かしてもらうシリーズ。今回は2年連続全日本ベスト8の田沼諒太選手の4回目。スピンサービスをしっかり弾ませる方法を教えてくれた。

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 スピンサービスはファーストでもセカンドでも両方使います。安定感だけでなく威力も重視しており、しっかり弾ませて相手のスイートスポットを外すことで、次の攻めにつなげるようにしています。昔から軸として使っているサービスですね。

 僕のスピンサービスで特徴的なのは、すごく身体を反るところです(写真2コマ目)。特別に意識はしていないんですが、12歳ぐらいから自然に反るフォームが身に付きました。もともと柔軟性はあったし、トレーニングもしましたから、これだけ反っても腰を痛めたりしたことはありません。

 自分で意識しているポイントは、トスをあまり左の方(背中側)に上げないことです。一般の愛好家を見ていると、左に上げすぎて引っかけてしまうケースが多いですが、僕は打点が頭の上ぐらいなるのを目安にしています(5コマ目)。
 
 反った体幹を、頭の上に向かって戻す力で回転をかけるんです。手で打つのではなく、力の源は足と体幹です。トスが左方向ではなく頭上だと、反り戻しの幅を広く取れるし、前への力も多く使えます。スピンサービスの威力が出ない方は、試してみてください。

 あとは、インパクトくらいから身体が開かないように意識しています。スピンサービスは下から上に振り上げた後、横に振り抜くイメージで打ちます。身体が開くとラケットが横に行かず、ボールが跳ねなくなるので、注意してください。

 そして最後にもう1つ、スイングスピードを落とさないこと。振りを遅くして回転をかけても、入れるだけのスピンになります。逆に僕はスイングスピードを上げる意識で振り切っていますね。

【プロフィール】田沼諒太/たぬまりょうた
1995年9月22日、東京都生まれ。179cm、66kg、右利き。ジュニア時代は全国タイトルや四大大会Jr出場とは縁がなかったが、相生学院高を卒業後プロ転向し、世界を回って力を付けた選手。2018、19年にITFツアーで2勝を挙げ、全日本選手権ベスト8。イカイ所属。

構成●スマッシュ編集部
※『スマッシュ』2022年1月号より再編集

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