連日熱戦が繰り広げられている男子テニスツアー「ロレックス・パリ・マスターズ」(10月30日~11月5日/フランス・パリ/インドアハード/ATP1000)の"非情なスケジュール編成"に、選手たちから怒りの声が上がっている。
センターコートに1日6試合が組まれている今大会。そのタイトすぎるスケジュールの餌食となってしまったのが、先週開催の「エルステバンク・オープン」(オーストリア・ウィーン)でツアー10勝目を飾った世界4位のヤニック・シナー(イタリア)だ。
パリ大会に第4シードで出場したシナーはセンターコートの最終試合として行なわれた2回戦(初戦)でマッケンジー・マクドナルド(アメリカ/世界ランキング42位)と対戦し、苦戦を強いられながら6-7(6)、7-5、6-1の逆転で勝利。ちなみに現地11月2日の午前0時30分ごろに始まったこの試合が終了したのは同2時30分過ぎだった。
しかし大会側が1日に発表済みのスケジュールには、2日午後5時のセンターコート第4試合にシナー対マクドナルド戦の勝者の試合が組まれていた。そのためシナーは前の試合からわずか14時間後にプレーしなければならないという過酷な状況に直面することに。それを踏まえた上でシナーは「疲労」を理由に3回戦を棄権すると表明。これによりアレックス・デミノー(オーストラリア/同13位)が不戦勝で準々決勝へ進むこととなった。
シナーは自身のX(旧ツイッター/@janniksin)で3回戦棄権を決断したことについて以下のようなコメントを記している。
「申し訳ありませんが、本日のパリでの試合を棄権することを発表させていただきます。午前3時近くに前の試合を終えて、就寝したのはその数時間後でした。休んで次の試合に備えられる時間は12時間もありませんでした。自分の健康と身体のために正しい決断を下さなければなりません」
一連の流れを受けて選手からも男子ツアーを管轄するATP(男子プロテニス協会)への批判の声が相次いでいる。
パリ大会初戦で敗退した世界8位のキャスパー・ルード(ノルウェー)は2日に更新した自身のX(@CasperRuud98)で「素晴らしいよ、ATP様。朝の2時37分に前の試合を終えた世界最高の選手の1人が最大限回復して次の試合の準備ができるようにするための最高のスケジュールだね。リカバリーに(たった)14時間半…なんてことだ」と皮肉を込めて同協会を糾弾した。
このルードの投稿には同じくパリで初戦負けを喫した元世界3位のスタン・ワウリンカ(スイス/現51位)も反応し、「ふざけてる。大会側は選手のことを気にしないし、ATPは大会側の好きなようにさせてるだけだ。いつもと同じだ」と投稿。
これらの意見に賛同するような形でシナーのコーチを務めるダレン・カーヒル氏(オーストラリア/元男子22位/58歳)も2日の2回戦後に更新した自身の公式インスタグラム(@dc10s)で「午前2時45分。シナーの勝利はうれしいが、パリのスケジュールは選手たちの健康については全く考慮していない」と綴っている。
ただでさえ過酷なプロテニスの世界で日々懸命に戦う選手の健康がないがしろにされることがあってはならない。商業的な事情も関係しているのかもしれないが、ATPや各トーナメント側には早急に対応策を検討してほしいものだ。
文●中村光佑
【連続写真】ムチのように関節を柔らかく使ったシナーのフォアハンド「30コマの超連続写真」
【PHOTO】シナーはじめウインブルドン2023で熱戦を繰り広げた男子選手たち
【PHOTO】シナーはじめ全豪オープン2023で熱戦を繰り広げた男子選手たちの厳選写真!
センターコートに1日6試合が組まれている今大会。そのタイトすぎるスケジュールの餌食となってしまったのが、先週開催の「エルステバンク・オープン」(オーストリア・ウィーン)でツアー10勝目を飾った世界4位のヤニック・シナー(イタリア)だ。
パリ大会に第4シードで出場したシナーはセンターコートの最終試合として行なわれた2回戦(初戦)でマッケンジー・マクドナルド(アメリカ/世界ランキング42位)と対戦し、苦戦を強いられながら6-7(6)、7-5、6-1の逆転で勝利。ちなみに現地11月2日の午前0時30分ごろに始まったこの試合が終了したのは同2時30分過ぎだった。
しかし大会側が1日に発表済みのスケジュールには、2日午後5時のセンターコート第4試合にシナー対マクドナルド戦の勝者の試合が組まれていた。そのためシナーは前の試合からわずか14時間後にプレーしなければならないという過酷な状況に直面することに。それを踏まえた上でシナーは「疲労」を理由に3回戦を棄権すると表明。これによりアレックス・デミノー(オーストラリア/同13位)が不戦勝で準々決勝へ進むこととなった。
シナーは自身のX(旧ツイッター/@janniksin)で3回戦棄権を決断したことについて以下のようなコメントを記している。
「申し訳ありませんが、本日のパリでの試合を棄権することを発表させていただきます。午前3時近くに前の試合を終えて、就寝したのはその数時間後でした。休んで次の試合に備えられる時間は12時間もありませんでした。自分の健康と身体のために正しい決断を下さなければなりません」
一連の流れを受けて選手からも男子ツアーを管轄するATP(男子プロテニス協会)への批判の声が相次いでいる。
パリ大会初戦で敗退した世界8位のキャスパー・ルード(ノルウェー)は2日に更新した自身のX(@CasperRuud98)で「素晴らしいよ、ATP様。朝の2時37分に前の試合を終えた世界最高の選手の1人が最大限回復して次の試合の準備ができるようにするための最高のスケジュールだね。リカバリーに(たった)14時間半…なんてことだ」と皮肉を込めて同協会を糾弾した。
このルードの投稿には同じくパリで初戦負けを喫した元世界3位のスタン・ワウリンカ(スイス/現51位)も反応し、「ふざけてる。大会側は選手のことを気にしないし、ATPは大会側の好きなようにさせてるだけだ。いつもと同じだ」と投稿。
これらの意見に賛同するような形でシナーのコーチを務めるダレン・カーヒル氏(オーストラリア/元男子22位/58歳)も2日の2回戦後に更新した自身の公式インスタグラム(@dc10s)で「午前2時45分。シナーの勝利はうれしいが、パリのスケジュールは選手たちの健康については全く考慮していない」と綴っている。
ただでさえ過酷なプロテニスの世界で日々懸命に戦う選手の健康がないがしろにされることがあってはならない。商業的な事情も関係しているのかもしれないが、ATPや各トーナメント側には早急に対応策を検討してほしいものだ。
文●中村光佑
【連続写真】ムチのように関節を柔らかく使ったシナーのフォアハンド「30コマの超連続写真」
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