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海外テニス

兵庫チャレンジャー準優勝の島袋将が身体作りのため今季終了。来季に向け「ツアーに定着できる選手になりたい」と意気込み<SMASH>

内田暁

2023.11.21

四大大会の本戦に2度出場するなど充実のシーズンを送った島袋<br />
は兵庫チャレンジャーでシーズンに幕を下ろし、以降は身体作りに専念するという。(写真は今年のジャパンOP参戦時)写真:田中研治(THE DIGEST写真部)

四大大会の本戦に2度出場するなど充実のシーズンを送った島袋
は兵庫チャレンジャーでシーズンに幕を下ろし、以降は身体作りに専念するという。(写真は今年のジャパンOP参戦時)写真:田中研治(THE DIGEST写真部)

「大会に出るよりも、まずは身体作りにフォーカスしたいと考えました」

 躍進のシーズンを「兵庫ノアチャレンジャー」(11月13日~19日/兵庫県)で終えた彼は、その理由を端的に言語化した。

 今季最終戦の成績は、準優勝。最終ランキングは、144位。今後、横浜と四日市で開催されるATPチャレンジャー2大会に出場すれば、あるいは来年1月の全豪オープン出場圏内に届いたかもしれない。だが彼は目先の試合とランキングポイント以上に、来季に備えることを選んだ。そしてその選択とロジックこそが、島袋将を今の地位に至らせた源泉でもあるだろう。

 振り返れば島袋のプロテニスキャリアは、混沌の中で始まった。早稲田大学卒業後の2020年春。それは、世が新型コロナ感染拡大に揺れ、全ての国際大会が半年間の停止に突入した時期でもあった。

 だが島袋や、彼を支える周囲の人々は、これを好機ととらえる。誰もが足止めされているその間に、チーム体制を整え、フィジカルを鍛え、しかるべき機に備えることができるからだ。現にその頃から島袋は、ナショナルチームのトレーナーも務めるレオ大瀧祐市氏や、ストレングスコーチの松田浩和らに師事する。先行投資を惜しまず、近視眼的にならず数年単位での青写真を描いてきた成果こそが、プロ4年目にして果たした、2度のグランドスラム(四大大会)本戦出場だ。

 同時に、この1年間でフューチャーズからATPチャレンジャー、そしてATPツアーにグランドスラムとあらゆるカテゴリーを戦う中で、彼は自身について多くを知りもする。

「サーブをもっと強化しなくては」の思いは、ウインブルドン本戦初戦で、グリゴール・ディミトロフと対戦し痛感したこと。「気持ち的にタフに行かなくてはいけない場面で、躊躇する自分がいた」とも振り返った。
 
 それらの課題も踏まえた上で、来季は、杉田祐一のツアーコーチでもあったブライアン・ネロスを、チームに加える予定だという。

「ここからトップ100を目指す上で、新しい刺激だったり、あえて何かを変えていかないといけない部分がもちろんあると思う。自分のポジションも含めた体制作りを、チームで話し合っていきたい」とも島袋は言った。

 そのような目標に向け心身を整えるためにも、準備期間は不可欠だ。

「まずは、今シーズンすごく良い形でここまで来られた。来シーズンに向けて、もちろん全豪オープンにダイレクトインのチャンスがあるので、日本のチャレンジャー大会に4週連続で出るのも、一つプランとしてありました。でもそれより、まずは身体を1回休ませて、その後のトレーニング期間を大事にしたい。オフシーズンと言っても1カ月ちょっとしかないので、どういう風に過ごしていくかを逆算して、このタイミングを最後の大会にしようと思いました。トップ選手とやりあえる基盤を作った状態で、来シーズンに乗り込みたいと思っています」
 
 兵庫ノアチャレンジャーの準決勝進出時点で、島袋はそう説明した。

 決勝戦での島袋は、第1セットの2ゲーム目に、「サーブで着地した時に、左足の付け根に痛みを覚えた」という。太ももは、大会を迎えた時点で、若干の不安を抱えていたとも明かした。その意味では、この大会を最後と定めていたことも、自身の身体に対する高い理解度の証左とも言えるだろう。

「まずはトップ100を切り、ツアーに定着できる選手になりたい」

 来季の目的地を、彼は明瞭に口にした。その地点に向けた下準備は、充実のシーズンを終えたこの瞬間にも、早くも始まっている。

取材・文●内田暁

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