多くのアマチュアは自分自身でゲームの判定を下す「セルフジャッジ」でテニスの試合をしています。「自分で判定するなら簡単」と思うかもしれませんが、それは大間違い。いい加減な判定によってトラブルを起こすことが多々あるからです。

　そうしたトラブルなしで試合を楽しむには、とにかくルールに詳しくなることが大切です。そこで元プロ選手で現在公認審判員も務める岡川恵美子氏にケース別でルールについて解説してもらいました。

　今回のケースは「隣のコートからの騒音」についてです。

　隣のコートで試合をしている人の声が大きくてプレーに集中できません。こんな時、なにか静かにプレーしてもらうように促すルールはあるのでしょうか。

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　残念ながら救済できるルールはありません。仮にその試合に審判が付いて、「うるさい」と判断すれば、審判から隣のコートに「もう少しボリュームを下げてください」とお願いする場合はあります。ただ、どの程度の音量が「うるさい」に該当するかは個人差があるので判断が難しいところでしょう。

　例えば、普通にプレーしている時に隣のコートから突然「よっしゃー！」みたいな大声が出され、それに驚いてプレーが止まった場合などは「外からのヒンダランス（妨害）」ということも考えられなくはありません。

　以前、私が審判をしている時、突風でスコアボードが勢いよく倒れてものすごい音がしたことがあります。その時は不本意のヒンダランスということで「レット」として、ポイントをやり直してもらいました。
  　なので、大声によってプレーに支障が出るようなら、ロービングアンパイアを呼んで相談してみることをお勧めします。

　第三者から見て明らかに隣のコートが騒がしいとなれば注意するはずです。ただ、前述したように「騒音」には個人差があります。ロービングから見て許容範囲であれば注意することはないかもしれません。

　ゲームでリードしていると騒音は気にならず、劣勢に回ると途端に周囲の音が気になり出すというケースはよくあります。同じコートで試合をしている両方の選手（チーム）が「うるさいね」と感じるのであれば、本当にうるさいということになるのでしょうが、片方のチームだけが「うるさい」と感じる場合は判断が難しいところです。

解説●岡川恵美子
17歳で全日本選手権を制覇して日本初の高校生プロとなる。グランドスラム（四大大会）では、全豪オープン３回戦進出をはじめ、全仏オープンやウインブルドンの本戦に出場。現在はベテラン大会に挑戦しながら、ITF国際審判員、JTA公認審判員も務める。

構成●スマッシュ編集部
※スマッシュ2023年３月号より抜粋・再編集

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