男子テニス元世界ランク１位のボリス・ベッカー氏（ドイツ／56歳）が欧米スポーツメディア『Eurosport』のポッドキャストに登場。そのなかで先月下旬から自身がコーチとして指導する20歳のホルガー・ルネ（デンマーク／世界ランク８位）の調子が戻りつつある現状に言及し、「態度が変化するとともにプレースタイルも良くなった」と手応えを口にした。

　今シーズンはモンテカルロとローマのマスターズ２大会で準優勝し、ローマではノバク・ジョコビッチ（セルビア／現１位）を破る金星を挙げるなど素晴らしい活躍を見せていたルネ。ところが７月のウインブルドンでベスト８に入って以降は腰のケガの影響もあり全く勝てず、苦しい時期が続いた。

　それでも10月下旬にベッカー氏を招聘すると早速その効果が表れた。新チーム初戦となったバーゼル大会（ATP500）ではタフマッチをことごとく制してベスト４へ進出。ディフェンディングチャンピオンとして出場したパリ大会（ATP1000）ではタイトル防衛こそ逃したもののベスト８へと勝ち進み、徐々に本来の調子を取り戻してきている。なお初出場を果たしたシーズン最終戦「Nitto ATP ファイナルズ」（イタリア・トリノ／ハードコート）ではラウンドロビン（総当たり戦）で１勝２敗に終わり、準決勝進出を逃した。
  　2016年12月にジョコビッチと師弟関係を解消して以来約７年ぶりにコーチ業に就いたベッカー氏にとって、「非常に難しい夏を過ごした」ルネの立て直しは簡単ではなかったという。

　以前からルネのコート上での振る舞いが問題視されていることも知っていたというベッカー氏は「我々が準備を進める中で、なぜ彼が試合に負け続けていたのかについて話し合った」と明かし、「それは彼のフォアハンドやバックハンドが原因だったのか、あるいは彼の態度が原因だったのか？」と常々抱いていた疑問を振り返りながらコメント。その中でも「態度」の要素はプレー面で重要だと述べ、「その選手の態度が正しくないものなら、テニスをする必要はない」と主張した。

　一方でベッカー氏は自身がコーチに就いてから「ルネの調子は上向きになった」と評価。それにはルネが自分で解決策を見つけ出したことも関係しているとし、「バーゼル１回戦はリードされたところから彼自身が戦う力を示した。試合を重ねるごとに良くなった。とにかく彼の態度だけでなく、プレースタイルも良くなった。バーゼルの準決勝は完敗だったから良い試合ではなかったが、パリではまた、状況がずっと良くなった」と語った。

　今後もコーチ契約を継続する意向を示しているルネとベッカー氏。ファン注目の“新コンビ”が来季どのような結果を残すのか楽しみにしたい。

文●中村光佑

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