男子テニス世界ランク８位のホルガー・ルネ（デンマーク／20歳）がポルトガルのテニスメディア『Bola Amarela』のインタビューに登場。そのなかで今年10月下旬にコーチ契約を結んだ元世界王者のボリス・ベッカー氏（ドイツ／56歳）との新タッグが「自分のレベルを引き上げてくれると信じている」と期待の言葉を口にした。

　今季はモンテカルロとローマのマスターズ２大会で準優勝し、ローマではノバク・ジョコビッチ（セルビア／現１位）を破る金星を挙げるなど素晴らしい活躍を見せていたルネ。ところが７月のウインブルドンでベスト８に入って以降は腰のケガの影響もあり全く勝てず、苦しい時期が続いた。 　

　それでも10月下旬にベッカー氏を招聘すると早速その効果が表れた。新チーム初戦となったバーゼル大会（ATP500）ではタフマッチをことごとく制してベスト４へ進出。ディフェンディングチャンピオンとして出場したパリ大会（ATP1000）ではタイトル防衛こそ逃したもののベスト８へと勝ち進み、徐々に本来の調子を取り戻してきている。なお11月中旬のシーズン最終戦「Nitto ATP ファイナルズ」（イタリア・トリノ／ハードコート）ではラウンドロビン（総当たり戦）で１勝２敗に終わり、準決勝進出を逃した。

　一筋の光を見出しつつある現状に、ルネも手応えを感じていると明かす。ジョコビッチのコーチを務めたこともあるベッカー氏の指導法はフィットしているようで、「過去にトップ選手としてプレーし、トップの選手を指導した経験も持つコーチがいるのは、僕にとって重要なことだ」とコメント。ベッカー氏が「自分のことをよくわかってくれている」こともプラスに働くのではないかと語った。
  「コートに立つたびにベッカー氏から多くのことを学んでいる。彼に何かについて質問するたびに、賢明で適切な答えが得られるように感じている。若い頃に最高の選手だった人と僕の考えを共有できること、誰かが自分のことを理解してくれることは大きな意味がある。そういうことができる人はそう多くはない」

　続いてルネは苦しかった今シーズンを回顧しつつ、今後の課題として掲げている「安定性の向上」においてもベッカー氏とのタッグが、必ずや前向きな結果をもたらしてくれるはずだと強調。また若い時は困難な状況に直面するのも当然のことだと割り切りながら、ポジティブシンキングを貫きたいとも述べた。

「僕は毎年困難な時期を経験しているが、それもベッカー氏の指導が僕を助けてくれるのではないかと思っている。休養をとるのに適切な時期はいつなのか、トレーニングの量をどうするのかといったことも含めてね。

　物事がうまく進まない時は難しいものだけど、特に若い時はそれが人生の一部になると思う。全てを知り、全てを正しくこなすなんてことは期待できない。僕は学び続けたい。この難しい時期を乗り越えるにつれて、僕は精神的に強くなる」

　しばらくはコーチ契約を継続する意向を示しているルネとベッカー氏。ファン注目の“新コンビ”が来季どのような結果を残すのか楽しみにしたい。

文●中村光佑

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