長きにわたりロジャー・フェデラー（スイス／元１位）、ラファエル・ナダル（スペイン／元１位／現664位）、アンディ・マリー（イギリス／元１位／現42位）、ノバク・ジョコビッチ（セルビア／現１位）の４巨頭が支配してきた男子テニス界。フェデラーが引退し、マリーとナダルもケガとの闘いを強いられる中、現在も類まれなる強さを維持しているジョコビッチのタフネスぶりは目を見張るものがある。

　そのジョコビッチに２勝３敗と肉薄しながらも、直近の戦いではパリ（ATP1000）準々決勝、ATPファイナルズ・ラウンドロビン（総当たり戦）と２連敗している20歳のホルガー・ルネ（デンマーク／８位）は、未だに若手がジョコビッチの勢いを止められない現状に危機感をにじませる。

　このほど元世界王者のジミー・コナーズ氏（アメリカ／71歳）が司会を務めるポッドキャストに出演したルネは、初めに自身と同世代のカルロス・アルカラス（スペイン／20歳／２位）、ヤニック・シナー（イタリア／22歳／４位）とが良きライバル関係を築けていることについて「ノバク、アンディ、ロジャー、ラファの４人がテニス界を牽引したように、ツアーを引っ張れる存在が出てきているのは本当に素晴らしいことだ」とコメント。

　一方で若手の実力は「まだまだ足りない」ともどかしさを語り、自身を含め若手のトップ選手が大ベテランのジョコビッチに引退を考えさせるほどの力を付けなければならないと強調した。
  「もっともっと頑張らないといけない。ノバクはまだ現役でプレーしているし、今年も四大大会を３つ優勝している。我々は１度だけではなく毎回のように彼を倒さなければならない。現状では僕たち（若い選手）がツアーを支配しているとは言えない。ノバクを追い出すよう努力をするべきだ」

　ただ内心では「ノバクがまだプレーを続けてくれていることは刺激になっているし、彼のプレーを見られるのは僕らにとって有益なことだ」とも考えている。それでもデンマークテニス界の俊才は、改めて力を込めながらこう締めくくった。

「僕は毎回ノバクを倒すつもりでいく。彼が大きな大会で勝ち続ける限りは、彼の勢いは止まらない。つまり、僕ら（若手）が倒すまで彼は止まらないのだから、僕らのレベルアップが早ければ早いほど、テニス界を早く引き継げるということだ」

　確かに勢いがあるはずの若手がジョコビッチの牙城を崩せないのは、やはり物足りなさを感じてしまう。来季こそは次代を担うプレーヤーたちの王座交代を期待したい。

文●中村光佑

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