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英国テニスのトップ選手ノーリーが持論「来シーズンにより良い結果を残すのはシナーよりもアルカラス」<SMASH>

中村光佑

2023.12.08

シーズン終盤で存在感を発揮したシナー(左)とウインブルドン初優勝のアルカラス(右)だが、果たして来シーズンはどんな結果になるのか。(C)Getty Images

 今シーズンの男子テニスツアーにおいて「大きな成長を遂げた選手は?」と問われれば、多くのファンが22歳のヤニック・シナー(イタリア/世界ランキング4位)を思い浮かべるのではないだろうか。

 今年7月のウインブルドンでついに四大大会初のベスト4入りを遂げたシナーは勢いそのままに、8月のトロント大会(カナダ)で悲願のマスターズ初優勝を達成。11月のシーズン最終戦「ATPファイナルズ」(イタリア・トリノ/ハードコート)でも準優勝すると、直後にイタリア代表として出場した国別対抗戦「デビスカップ・ファイナルズ」(スペイン・マラガ)では母国の47年ぶりの優勝に貢献するなど充実のシーズンを送った。

 目を見張るほどの活躍ぶりから「近いうちに世界のトップに立つのではないか」と期待の声も多く寄せられているシナーだが、世界18位のキャメロン・ノーリー(イギリス/28歳)は周囲とは異なる意見を口にする。

 シナーが勢いづく中、20歳にして世界2位に君臨するカルロス・アルカラス(スペイン/20歳)が、「来年はシナーよりも良い成績を収めるだろう」と予想。その理由についてノーリーは、テニス系海外メディア『Tennis365』のインタビューでこう説明した。

「アルカラスの方がより完璧な試合をしていると思う。彼はシナーよりも動きが良いし、フォアハンドの多様性があってドロップショットやボレーもシナーより優れている。スライスのスキルもシナーより上だ。だから(トータルで)アルカラスはシナーよりも良いシーズンを送ると思う。僕の予想は間違っているかもしれないが、どうなるか見てみよう」
 
 2023年のアルカラスはシーズン後半こそ調子を落とすものの、ウインブルドンで四大大会2勝目。春のインディアンウェルズとマドリードのマスターズ2勝を含め、シナーを2つ上回る6つのタイトルを獲得し、通算でも65勝12敗と驚異的な成績を残した。そのアルカラスはノーリーの言葉通り多彩なプレーを武器にしており、力強いフォアハンドに加えボレーやドロップショットのクオリティも一級品だ。

 どちらかと言えばシナーの快進撃はシーズン後半に集中しており、それだけインパクトが残りやすかったのは事実だ。大舞台での強さでは依然シナーを凌ぐアルカラスの存在を忘れてはならないとノーリーは主張したいのかもしれない。

 ただ最近のシナーはまだぎこちなさは見られるものの、ネットプレーやドロップショットを仕掛ける場面も増えており、プレーのバリエーション増加に果敢に取り組んでいる様子だ。アルカラス同様今後の伸びしろも十分である。次代の"宿命のライバル"と称される2人が切磋琢磨しながらツアーを盛り上げてくれることを願いたい。

文●中村光佑

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