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海外テニス

出場停止のハレップがムラトグル氏とのコーチ契約を解消。控訴却下なら「私はキャリアを終える」と引退も!<SMASH>

中村光佑

2023.12.18

ムラトグル氏(左)の薦めたコラーゲンがハレップ(右)のドーピング違反の原因となった。同氏の公表が遅れたことで、2人の信頼関係は崩れることに…。(C)Getty Images

ムラトグル氏(左)の薦めたコラーゲンがハレップ(右)のドーピング違反の原因となった。同氏の公表が遅れたことで、2人の信頼関係は崩れることに…。(C)Getty Images

 今年9月に2件のドーピング違反を理由として4年間の資格停止処分を科された女子テニス元世界ランク1位のシモナ・ハレップ(ルーマニア/32歳)が、昨年4月にチームに迎え入れたパトリック・ムラトグル氏(フランス/53歳)とのコーチ契約を解消したことを明らかにした。

 既報の通りハレップのドーピング違反は、昨年8月の全米オープンで採取した検体を検査した際、2つのサンプルのうちの1つから禁止物質に指定されている「ロキサデュスタット」が検出されたことによるもの。もう片方のサンプルからも同様の所見が確認されたため、強制的な暫定出場停止処分が下された。

 それに追い打ちをかけるように、今年5月には「生体パスポート」(選手の血液成分などの情報を蓄積したデータ)に関わる違反が発覚。テニスの不正行為を監視する第三者機関「ITIA」は9月に発表した公式声明において、「ハレップがドーピング違反を犯したことを改めて確認し、4年間の出場停止処分を課した」と通告していた。

 ハレップのドーピング違反はムラトグル氏が薦めたコラーゲンを摂取したことが原因と報じられており、同氏は先月初めにルーマニアテニス連盟がX(@WTARomania)で公開したインタビュー動画で「一連の報道は事実であり、私は彼女のチームメンバーとして責任を感じている」と悔恨の念を口にしていた。

 欧米ニュースメディア『Euronews』によると、ハレップは暫定出場停止処分が科された段階でそのコラーゲンについて一言も触れていなかったムラトグル氏に不信感を抱いたとし、「コーチ契約を終了した」と報告。以下のように簡潔にコメントしている。
 
「すでに公になっていることは事実。彼がもう少し早くそれ(コラーゲンの件)を明らかにしてくれれば良かったのにと思う。私は以前のチームを含め、一緒に仕事をする人たちを常に信頼していたから、今回の騒動は私にとって大変だった。私はそれ(周りの人たちを信用し続けること)に自信を持っていたけど、今ではその自信が少し揺らいでいる」

 またハレップは昨夏に初めてドーピング違反が発覚してから「毎日とてもつらい気持ちでいっぱいだった」と率直に苦しい胸の内を吐露。「尿検査で陽性反応が出たという手紙を受け取った時はショックだった」と当時を回顧しつつ、「私は何も悪いことをしていないし、自分が潔白であることもわかっている。私は常にドーピング違反には反対してきた」と改めて無実を主張した。

 ただし、来年2月に最終決定が下されるスポーツ仲裁裁判所(CAS)への控訴が認められなかった場合は、現役引退もやむを得ないと語っている。「32歳という私の年齢で4年(の資格停止)は長い。4年なんてどうすればいいのかわからない。控訴が実らなければ私はキャリアを終えることになると思う。私のせいじゃないとわかっている中でそういう流れになったら、さらに悲惨だわ」と締めくくった。

 何とかハレップの状況が好転することを切に願いたい。

文●中村光佑

【PHOTO】ハレップはじめ、なかなか見られないトッププロの練習やテニス教室の様子

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