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海外テニス

女子テニス元世界1位ハレップのドーピング違反に元コーチが言及「コラーゲンを摂取させたのは私だ」<SMASH>

中村光佑

2023.11.05

ドーピング違反で4年間の出場停止を課されているハレップ(右)について、元コーチのムラトグル(左)が当時を語った(写真は2022年5月)。(C)Getty Images

ドーピング違反で4年間の出場停止を課されているハレップ(右)について、元コーチのムラトグル(左)が当時を語った(写真は2022年5月)。(C)Getty Images

 今年9月に2件のドーピング違反を理由として4年間の資格停止処分を科された女子テニス元世界ランク1位のシモナ・ハレップ(ルーマニア)。テニス界を大きく揺るがした不祥事に人一倍責任を感じていると語るのが、2022年4月から約半年間にわたって彼女を指導した経験を持つ元コーチのパトリック・ムラトグル氏(フランス/53歳)だ。

 既報の通りハレップのドーピング違反は、去年8月の全米オープンで採取した検体を検査した際、2つのサンプルのうちの1つからWADA(世界アンチ・ドーピング機構)の禁止物質リストに記載されている「ロキサデュスタット」が検出されたことによるもの。もう片方のサンプルからも同様の所見が確認されたため、強制的な暫定出場停止処分が下されていた。    

 それに追い打ちをかけるように、今年5月には「生体パスポート」(選手の血液成分などの情報を蓄積したデータ)に関わる違反が発覚。テニスの不正行為を監視する第三者機関「ITIA」は9月12日に発表した公式声明において、「ハレップがアンチ・ドーピング規則違反を犯したことを確認した」と通告した。
 
 ムラトグル氏と言えば元指導者としてハレップの無実を訴え続けてきた人物の1人であるが、11月4日にルーマニアテニス連盟がX(旧ツイッター/@WTARomania)で公開したインタビュー動画で同氏は「彼女(ハレップ)のドーピング違反には自分にも責任がある」と発言。ハレップのコーチ就任後に「彼女にコラーゲンを摂取するように勧め、ある会社からコラーゲンを取り寄せた」といい、「そこにロキサデュスタッドが混入していたことがわかった」と簡潔に説明した。

 その後同氏は改めて「そのコラーゲンを彼女に摂取させたのは私だ。私は彼女のチームに在籍していた1人として責任を感じている」と悔恨の念を口にした一方で、「意図的に禁止物質を摂取したことはない」というハレップの主張は明確に証明されたとコメント。ハレップがスポーツ仲裁裁判所(CAS)に控訴する意向を表明していることを踏まえ、こう続けた。

「CASは独立した法廷であり、シモナが不服を申し立てたことで彼女の状況が良くなることに自信を持っている。禁止物質の出どころを突き止めることはできた。我々は、禁止物質が偶然混入したことを証明するために、可能な限りの検査を行なった。CASが、彼女が(故意に)ドーピング違反をしたことはなく、彼女が被害者であり、そしてコートに戻って競争しなければならないことを認めるだろうと確信している」

 果たしてムラトグル氏の願いは届くのか。今後の動向に注目が集まりそうだ。

文●中村光佑

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