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【伊達公子】選手がしっかり調整して臨むようになってきた全豪OPは「ハッピースラム」<SMASH>

伊達公子

2024.01.12

「現地での練習の仕方には、選手によって違いがあります」と言う伊達公子さん。写真:THE DIGEST写真部

 1月14日から今年最初のグランドスラム「全豪オープンテニス」が始まります。今回から全仏オープンと同じように、日曜日スタート、日曜日終了になりました。序盤は試合数も多いですし、日曜日なら観戦しやすいので、今後全てのグランドスラムが日曜日開催になる可能性もありますね。

 全豪オープンは唯一、欧米人にとって遠いグランドスラムです。そのため、90年代は敬遠されていましたが、今は仕組みが変わり「遠いから行かない」という選択肢はなくなりました。欧米の選手は中東で練習したり、早くにオーストラリアに入って練習してから前哨戦に行くなど工夫しています。オフからシーズンインへの調整も早くなり、全豪オープンには、しっかりギアが上がった状態で臨むようになりました。

 大会側も選手や観客に来てもらえる大会にするために努力しています。オフィシャルホテルは会場から近く、市内にあるのでとても便利ですし、ホスピタリティーがさまざまな視点から充実していることも、選手たちからの人気になっている要因のひとつでしょう。

 ウインブルドンには伝統、全米オープンにはエンターテインメント性など各グランドスラムにはイメージがありますが、全豪オープンは最近「ハッピースラム」の印象が定着してきました。楽しくて馴染みやすいという感じです。
 
 ただし、暑さは厳しいものがありますね。昔から暑いですが、最近は痛いぐらいの暑さで危険を感じる領域です。その暑さに慣れるために、選手は早くからオーストラリア入りしているのです。ただ、現地での練習の仕方には、選手によって違いがあります。

 日本人選手の場合、10時に試合があるなら10時に練習するという考えです。欧米の選手の中には、暑い時間帯を避けて練習して体力温存を優先するという考え方をする選手もいます。暑さに慣れるために同じ時間に練習したのに、こっちの方が試合中にケイレンすることもあり、体力温存の方がいいのかと思った時もありました(笑)。

 日本人選手は暑さに対してそれほど弱くないですし、日本から応援に来てくれる観客も多いので、ホームとは言いませんが親近感があるグランドスラムです。ハードコートですし、空気感がアメリカよりもオーストラリアの「ハッピースラム」の方が合うので、結果を出しやすい大会だと言えるでしょう。

文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン

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