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海外テニス

【伊達公子】ストレスのかかる遠征を少しでも快適にする方法。時差ぼけ対策は睡眠と空腹<SMASH>

伊達公子

2023.12.15

「飛行機に乗ったらずっと寝ていました」と言う伊達公子さん。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

「飛行機に乗ったらずっと寝ていました」と言う伊達公子さん。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

 テニス選手にとって、今の時期は貴重なオフシーズンですが、シーズンが始まると遠征が続きます。移動が多く、ホテル生活になるためストレスがかかりますが、それが選手の日常ですから、少しでも快適に過ごせるようにするべきです。私が実行していた工夫を紹介しましょう。

 まずは時差ボケ対策。私は飛行機に乗ったらずっと寝ていました。寝られなくても目を閉じています。搭乗前にしっかりと食べておいて、機内ではほとんど食べません。「何も召し上がらなくて大丈夫ですか?」と聞かれることもありましたが、空腹でも食べずに寝続けます。

 こうすると、腹時計が狂うため、到着後に現地時間に合わせて食事を摂ることで、時差ボケが早く解消されます。睡眠も同様で、現地時間に合わせて、夕方に着いても夜になったら寝ます。朝に到着したら、飛行機で寝ているので、すぐに練習しても大丈夫というわけです。

 今は飛行機での楽しみ方が豊富なので、誘惑があると思いますが、到着後の体調を第一に考えて機内から現地時間を意識して過ごすと良いと思います。

 ホテルで夜に時差ボケで寝られないということもあるでしょう。こんな時は、ベッドで横になり、目を閉じて大人しく時間が経つのを待ちます。「寝られない、どうしよう」と焦る必要はありません。横になっておけば、ある程度身体は休まります。活動的に過ごす徹夜と、大人しく横になっている状態では大きな違いがあることを理解しておきましょう。
 
 ホテルにチェックインしたら、すぐに全部の荷物を出して部屋を整えます。これから少なくとも1週間はお世話になる部屋なので、少しでも早く自分仕様の快適な空間にしておくためです。

 会場も同じで、早く馴染むために、到着したら必要なところを見て回ります。例えば、トレーニングジムにはどんな器具が揃っているのかを確認します。自分がいつも行なうメニューでできないものがあると事前にわかれば、代わりに何をするかを考えておくことができます。翌日のトレーニングでは悩む必要がなく、快適に過ごせるわけです。

 ロッカーの場所も心地良く過ごすポイントでした。自分が使いやすい場所があるんです。グランドスラムや大きな大会にはロッカールームに鍵付きの自分のロッカーを確保できます。ロッカーは早い者勝ちなので、早く到着していた(奈良)くるみちゃんに確保をお願いしたこともありました。

 女子ロッカールームを管理している方に「キミコがここを使いたがっている」と伝えてもらったこともあります。とても優しい方なので、対応してくださいました。特にグランドスラムは期間が2週間と長いので、落ち着く環境は必死で確保していましたね。まったく気にしない人は気にしませんけど。

 ホテルでも会場でも、少しでも早く慣れて、自分にとって居心地の良い場所にできるように、色々と工夫をしてみましょう。ストレスも軽減され、テニスに集中できる環境になっていきます。
 
文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン

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