現在開催中のテニス四大大会「全豪オープン」で欧米スポーツメディア『Eurosport』のコメンテーターを務めている男子テニス元世界ランク13位のニック・キリオス（オーストラリア／28歳）が、同メディアのインタビューで世界王者のノバク・ジョコビッチ（セルビア／36歳）との親密な関係性について語った。

　テニス界でも「犬猿の仲」と称されるほど、以前は互いを牽制し合っていたことで知られる両者。そんな２人の関係性に大きな変化が生じたのは、22年１月にオーストラリア入国問題の渦中にいたジョコビッチをキリオスが擁護したことがきっかけだった。同年７月のウインブルドン決勝でも顔を合わせたキリオスとジョコビッチは現在も親交を深めており、今ではSNS上でも冗談を交えてやり取りするほどの仲になっている。

　彼らをよく知るファンからすれば「どういう風の吹き回しなのか？」と思ってしまうかもしれないが、嘘偽りなくキリオスとジョコビッチは固い友情で結ばれているようだ。今回のインタビューでキリオスは「最初は難しい関係だったけど…」と過去の確執を振り返りつつ、「（豪入国問題から）いくつかのことが変わった」とコメント。「今では本当に彼とほぼ毎日話している。面白い画像や動画などを送り合ったりもするよ」と、ジョコビッチと親友のような関係性を築いているとも明かした。
  　ちなみにキリオスはジョコビッチが４時間の激闘の末に18歳のディノ・プリズミッチ（クロアチア）に勝利した現地１月14日の全豪１回戦で、コメンテーターとして『Eurosport』に出演。同メディアの公式SNSは第４セットでジョコビッチが披露した巧みなハーフボレーにキリオスが大興奮する姿を公開し、ファンからも反響を呼んでいた。

　そのシーンについてもジョコビッチと話をしたというキリオスは、具体的なやり取りの内容をこう明かしている。「『あのテクニックはどこで手に入れたの？ ウインブルドン決勝で対戦した時はあんなボレー見せなかったじゃないか』と言ったら、『君からコピーしたよ』って返ってきたよ」

　歯に衣着せぬ物言いやコートマナーの悪さが取り沙汰されがちなキリオスが、ジョコビッチに手を差し伸べたことで生まれた美しき友情。いずれはまたツアーでの２人の対戦を見たいものだ。そのためにはキリオスが１日も早くケガから復帰できることを願うばかりである。

文●中村光佑

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