全豪オープン2日目、ロッドレーバーアリーナの最後に組まれたナイトマッチ――。
カクテル光線に照らされたテニスコートに大坂なおみが姿を現すと、観客席から歓声と拍手が湧き起こった。玉虫色に光るウォームアップジャケットが、アリーナを囲むLEDパネルに映える。
妊娠、出産のためにツアーを離脱していた大坂が、1年4カ月ぶりにグランドスラムの舞台に帰ってきた。
今大会が始まる前の会見で、大坂は穏やかな表情を見せていた。復帰戦となった2週間前のブリスベン国際で、良いプレーができたという手応えが大きな理由だったろう。特に、元世界1位のカロリーナ・プリスコワとも互角に戦えたことで、自信と安堵を手にしたようだ。
初戦の対戦相手がカロリーヌ・ガルシアに決まった時も、「自分のプレーができるように感じる」と明言。早々にトッププレーヤーたちと戦えることを、心待ちにしているようだった。
自身のサービスゲームで始まった注目の一戦は、大坂が時速180キロ超えのサービスを連発し、ファンの声援を呼ぶ。
ただサービスの好調具合では、ガルシアも負けていない。エースを2本叩き込んで、ラブゲームでガルシアもキープ。続く2ゲームも両者揃って危なげなくキープする並走に、動きが生じたのは第5ゲーム。ストローク戦になると、大坂のショットがネットを叩く場面が目立つ。このゲームをブレークしたガルシアが、そのまま第1セットを奪取した。
第2セットは、再びキープ合戦となるが、打ち合いになった時のガルシア優位は動かない。反応が遅れ後手に回る大坂は、強打に頼りミスが増える。お互いキープを続け駆け込んだタイブレークで、大坂はエースとサービスウイナーの2本でしかポイントを取れなかった。
勝者は、6-4、7-6(2)でガルシア。大坂は試合を通じ、一度もブレークチャンスを作ることができなかった。
試合後の会見席に座る大坂の表情は、数日前とは大きく異なっていた。「悪くないプレーだった」と口にするも、声色には明らかな落胆がにじむ。
「このアウトフィットが大好きなのに、もう着ることがないのが寂しい。だから会見にも着てきたの」
本音交じりのジョークを口にし、ぎこちなく笑った。
今の、率直な感情は――?
その問いには、「がっかり」と即答する。
「それが、自分への落胆なのかはわからないけれど……でもそうかもしれない。もっと良いプレーができたはずだと、強く感じている」
そこまで言うと、ネガティブな感情を振り払うように「自分に、ポジティブになろうと言い聞かせている。試合を重ねるごとに、良くなっていくはずだって」と口にした。
今季の大坂は、その感覚を取り戻すべく、可能な限り多くの試合に出ていく心づもりだという。次に出場を予定しているのは、約1カ月後のドバイ大会。そこからインディアンウェルズ、マイアミと続く北米シリーズに出場し、クレーコートシーズンへと挑んでいく。
現地取材・文●内田暁
【動画】「全豪オープン」1回戦、大坂なおみ対ガルシアのハイライト
【PHOTO】シーズン開幕!大坂はじめ全豪オープン2024で躍動する女子選手たちの厳選ショット!
【PHOTO】大坂なおみのサービス、ハイスピードカメラによる『30コマの超分解写真』
カクテル光線に照らされたテニスコートに大坂なおみが姿を現すと、観客席から歓声と拍手が湧き起こった。玉虫色に光るウォームアップジャケットが、アリーナを囲むLEDパネルに映える。
妊娠、出産のためにツアーを離脱していた大坂が、1年4カ月ぶりにグランドスラムの舞台に帰ってきた。
今大会が始まる前の会見で、大坂は穏やかな表情を見せていた。復帰戦となった2週間前のブリスベン国際で、良いプレーができたという手応えが大きな理由だったろう。特に、元世界1位のカロリーナ・プリスコワとも互角に戦えたことで、自信と安堵を手にしたようだ。
初戦の対戦相手がカロリーヌ・ガルシアに決まった時も、「自分のプレーができるように感じる」と明言。早々にトッププレーヤーたちと戦えることを、心待ちにしているようだった。
自身のサービスゲームで始まった注目の一戦は、大坂が時速180キロ超えのサービスを連発し、ファンの声援を呼ぶ。
ただサービスの好調具合では、ガルシアも負けていない。エースを2本叩き込んで、ラブゲームでガルシアもキープ。続く2ゲームも両者揃って危なげなくキープする並走に、動きが生じたのは第5ゲーム。ストローク戦になると、大坂のショットがネットを叩く場面が目立つ。このゲームをブレークしたガルシアが、そのまま第1セットを奪取した。
第2セットは、再びキープ合戦となるが、打ち合いになった時のガルシア優位は動かない。反応が遅れ後手に回る大坂は、強打に頼りミスが増える。お互いキープを続け駆け込んだタイブレークで、大坂はエースとサービスウイナーの2本でしかポイントを取れなかった。
勝者は、6-4、7-6(2)でガルシア。大坂は試合を通じ、一度もブレークチャンスを作ることができなかった。
試合後の会見席に座る大坂の表情は、数日前とは大きく異なっていた。「悪くないプレーだった」と口にするも、声色には明らかな落胆がにじむ。
「このアウトフィットが大好きなのに、もう着ることがないのが寂しい。だから会見にも着てきたの」
本音交じりのジョークを口にし、ぎこちなく笑った。
今の、率直な感情は――?
その問いには、「がっかり」と即答する。
「それが、自分への落胆なのかはわからないけれど……でもそうかもしれない。もっと良いプレーができたはずだと、強く感じている」
そこまで言うと、ネガティブな感情を振り払うように「自分に、ポジティブになろうと言い聞かせている。試合を重ねるごとに、良くなっていくはずだって」と口にした。
今季の大坂は、その感覚を取り戻すべく、可能な限り多くの試合に出ていく心づもりだという。次に出場を予定しているのは、約1カ月後のドバイ大会。そこからインディアンウェルズ、マイアミと続く北米シリーズに出場し、クレーコートシーズンへと挑んでいく。
現地取材・文●内田暁
【動画】「全豪オープン」1回戦、大坂なおみ対ガルシアのハイライト
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