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2回戦終了が午前3時40分で翌日には3回戦!全豪テニスの理不尽なスケジュールに世界3位が「6時半には寝たい」<SMASH>

スマッシュ編集部

2024.01.20

2セットダウンからの逆転劇を演じたメドベージェフだが、試合終了が午前3時40分とあって次戦への影響が懸念される。(C)Getty Images

「僕がどんなにテニスが好きでも、きっとここにはいなかったでしょう。皆さん、早くベッドに戻ってください。最後まで残ってくれてありがとう」。4時間23分に及ぶ激闘を制したダニール・メドベージェフ(ロシア/世界ランキング3位)は、試合後のオンコートインタビューで安堵の表情を浮かべた。

 現在開催中のテニス四大大会「全豪オープン」(オーストラリア・メルボルン)の男子シングルス2回戦。メドベージェフとエミル・ルースブリオ(フィンランド/同53位)による試合がスタートしたのは18日の深夜11時17分で、試合終了は日付が変わった19日の午前3時40分だった。

「6時半には寝たい。昼の12時に起きれば軽めのトレーニングができるかもしれない。難しい状況だけど優勝を目指して全力を尽くします」とコート上で語るメドベージェフ。翌日(20日)に控えるフェリックス・オジェ-アリアシム(カナダ/同30位)との3回戦に備えて体力を回復させなければならない。「うまくいかなければ、うまくいかないんだ」ともいう。

 通常の競技では考えられないようなハードなスケジュールを強いられるテニスツアー。男子プロテニス協会(ATP)と女子テニス協会(WTA)は1月9日に共同で公式声明を出し、2024年シーズンの公式戦で試合終了時刻が深夜帯に及ぶことを防止するためのスケジューリングを試験的に導入すると発表した。とはいえ、その対象に全豪オープンなどの四大大会は含まれていなかった。
 
 選手の健康がないがしろにされがちな現状について、著名なスポーツジャーナリスとのマシュー・ファターマン氏はウェブメディアの『The Athletic』の中で「(メドベージェフの)試合が始まる午後11時半の時点でセンターコートから約250メートル離れた、小さいとはいえもうひとつのショーコートは、その時点で2時間近く使用可能になっていた」と指摘し、もっと柔軟な対応が取られるべきだったとした。

 ファターマン氏によれば大会側は今回のことをさほど重視していないという。

「テニス・オーストラリアの関係者はこの件を問題視していないどころか、試合が深夜に及んだことで2桁の時差があるヨーロッパとアメリカのファンが試合を楽しめたことはメリットだった言っている。彼ら(テニス関係者)にとっては、世界3位のメドベージェフが徹夜しただけにすぎないのだ」と批判する。

 カレン・ハチャノフ(ロシア)は19日、自身の試合後の会見で次のように語った。「僕は今日の試合のために朝7時に起きたんだけど、彼(メドベージェフ)はきっとその時間に寝たんだろう。次の試合に備えて回復するためには、これは普通じゃないし、健康的でもない。睡眠は回復の一部であり、最も重要な部分のひとつだからね」と友を気遣った。

 試合時間無制限のテニス競技において試合時間が長引くことは日常茶飯事だ。とはいえ、選手の健康を考えるならば四大大会においても柔軟なスケジューリングが必要だろう。メドベージェフの3回戦は、現地20日の午後5時から始まるナイトセッションの第1試合に組み込まれている。

構成●スマッシュ編集部

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