「本当にびっくりした」――中国女子テニス界のニューヒロインは同郷のレジェンドのサプライズ訪問に驚きを隠せなかった。

　現在開催中のテニス四大大会「全豪オープン」は現地１月20日に女子シングルス３回戦が行なわれ、世界ランク15位で第12シードのジェン・チンウェン（中国／21歳）は同94位のワン・ヤファン（中国／29歳）との同胞対決に6-4、2-6、7-6(8)で勝利。全豪３度目の挑戦で初のベスト16進出を果たした。

　22年６月の全仏で16強入り、23年９月の全米では自身初の四大大会８強入りを経験しているジェン。ちなみにアジア人女子選手がハードコートの四大大会で23歳になる前に複数回ベスト16へ進むのは、大坂なおみ（元１位／現831位）、伊達公子（元４位）、沢松奈生子（元14位）に次ぐ史上４人目の記録だ。

　新たなマイルストーンを築き上げた新進気鋭の21歳に"ビッグサプライズ"が待っていた。ジェンが試合後のインタビューを受けていたところ、そこに中国の伝説的な巨星が突如現れたのである。四大大会２勝（全豪・全仏）を誇る元世界２位のリー・ナ氏（中国／41歳／2014年引退）だ。

　報道陣の中に身を潜めていたリー氏がジェンの元に駆けつけると２人はハグを交わし、数10秒ほど言葉を交わすシーンも見られた。
  　なおジェンと全豪主催側はインスタグラム（@zhengqinwen_tennis／@australianopen）を通じて共同でこの時の映像を公開しており、これをチェックしたファンからは温かいコメントやいいね！ が数多く寄せられた。

　ジェンはその後出席した記者会見でリー氏のサプライズ訪問に言及。この日がリー氏とは初対面だったという21歳は、偉大な先輩から貴重なアドバイスを受けたと明かした。

「私にとっては完全なるサプライズだった。顔を合わせるのは本当に今日が初めてだった。私たちはお互いのWe Chat（中国特有のSNS）や電話でもつながっていない。ジュニアの時に一度会ったことはあったけど、１対１で直接会ったことはなかった。彼女は私に、『あまり考えすぎず、シンプルにプレーしてね』と言ってくれた。確かにそれは今私がやるべきことでもあると思う」

　またWTA（女子テニス協会）も公式サイトで２人の初対面について報告。「私にとって本当に特別な気分だったわ。以前テレビで見た時よりも（リー氏は）ずっと美しくなっていた」というジェンの感想を紹介している。

　すでに自身初のトップ10入りも視界に捉えているジェン。リー氏の"金言"を胸に今後のさらなる飛躍を期待したい。

文●中村光佑

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