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【伊達公子】プロになりたいなら中学卒業後の進路は、通信制の学校か強豪校か?<SMASH>

伊達公子

2024.02.02

「どの道が一番良いという正解はありません」と言う伊達公子さん。写真:THE DIGEST写真部

「どの道が一番良いという正解はありません」と言う伊達公子さん。写真:THE DIGEST写真部

 人生で最初に大きな決断を自分でしたのは、高校進学の時。結果的に園田学園高等学校に行ったことが、自分のテニス人生の大きな転機となりました。今回は進路について書きたいと思います。

 プロのテニス選手になりたいと思っている場合、中学卒業後にどの方向に進むのか決断する時です。通信制の高校か学校テニスの強豪校が選択肢に挙がるでしょう。海外に拠点を置く、高校に行かずにプロになることも考えられますが、少数だと思うので、今回は通信と強豪校について。

 先に言っておきますが、どの道が一番良いという正解はありません。その時の自分自身の思い、覚悟の強さ、自分がどうありたいかということ次第で、決まっていくものです。

 ただし、今の時代を考慮し、プロとしてトップレベルで活躍したいという強い意志と覚悟があるならば、通信の学校が可能性が高いと言わざるを得ないでしょう。なぜなら高校時代にポツポツと国際大会に出るだけでは当然結果はついてきません。連戦と計画性のあるスケジューリングができる生活を送ることを考えると、学校生活との両立が難しいからです。

 通信制の学校を選択して自由な時間が増えたのなら、プロ生活にシフトしていきます。クラブの練習時間に合わせるのではなく、自分が主軸で練習時間が組める環境を整えること。筋肉を作ったり回復させるためには睡眠が大切ですから、夜は十分に睡眠時間を取ることなどを含めて、プロとしての生活を開始することです。自由時間が多くなるだけでは意味はありません。
 
 強豪校への進学を考える場合、2つのパターンがあるでしょう。学校優先なのか、公休が取れるなど、学校の理解がどれだけ得られるかです。同じ学校テニスでも、条件によって状況はかなり違ってきます。

 私が行った園田学園は、時代もあるでしょうが融通が利きました。例えば私は高校3年の時に修学旅行に行っていません。ITF1万ドルのデビューと重なったので、そちらを優先しました。最初、担任の先生は「修学旅行に行かないなら卒業させない」と言っていましたが、最終的には許してくれました。結果論ですが、あのスタートがあったから、その後の私があったのだと思います。つまり、学校の対応は、その後のテニス人生にも大きな影響を与えるということです。

 高校に入る前は融通を利かせてもらえるという話だったけれど、蓋を開けてみると、自分から言い出しづらく、仲間もできて学校も楽しく、モチベーションが変わっていくということもあるかもしれません。それも自分の意思の問題ですから、どうしたいのかは自分で決めることです。

 プロになりやすいのは通信の方ですが、学校テニスがダメというわけではありません。チーム戦で戦う心構えやプレッシャーとの向き合い方など、学校テニスだから得られる経験もあります。だから、何を求めて学校テニスを選ぶのかが大切です。

 例えば、まだ覚悟は決められず、大学進学も考えておこうと思う人がいても当然です。その場合、テニスの比重が大きくなった時にプロになれるように、強豪校に進学しておくということが考えられます。ただし、世界の流れとして、年齢が上がるほどプロで活躍できる可能性は小さくなっていくという現実だけは、理解しておくことです。

文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン

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