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炭素排出量を抑制する競争で2位のシェルトンが賞金を寄付!「これからも自分にできることをやっていく」<SMASH>

スマッシュ編集部

2024.02.28

プロツアーに参戦して、いかに移動が多いかを知ったシェルトンは、炭素排出量を抑制する活動に熱心に取り組むようになった。(C)Getty Images

 男子テニスで躍進中の21歳、ベン・シェルトン(アメリカ/世界ランク17位)が、2023年の「カーボン・トラッカー・リーダーボード」という競争で2位となり、賞金の3万ドルを自ら選んだ環境保護団体「ハイ・インパクト・アスリート(HIA)環境ポートフォリオ」に寄付した。

 ATP(男子プロテニス協会)が昨年始めたカーボン・トラッカー・リーダーボードとは、ツアーにおいて環境に配慮した移動を促し、炭素排出量を抑制しようという活動だ。なにしろATPツアーとチャレンジャーツアーでは、選手たちが50カ国、250以上の大会を転戦する。彼らが率先して模範を示せばインパクトは小さくない。

 シェルトンはこのように語る。

「僕は昨年ツアーに参加して、プロでやっていくためにどれだけの移動が必要かを経験した。カーボン・トラッカーを使い始めたのは、ポジティブなことをするためだ。移動は僕らの仕事の一部だし、このアプリを使えばとても簡単に排出量を追跡して相殺することができる。本当に良い出発点だと思う。これからも学び続け、自分にできることをやっていくつもりだよ。その結果、一人でも多くの人がこのテーマに関心を持つきっかけになれば、それは勝利だ」

 シェルトンといえば、プロ転向から半年後の23年全豪オープンでいきなりベスト8進出という衝撃的なデビューを飾った。さらに全米オープンで準決勝に進み、ジャパンオープンではツアー初タイトル獲得。Netflixのヒット番組『ブレイク・ポイント』のシーズン2にも登場し、今や大スターの一人だ。

 まさに世界を股にかけた活躍を見せているわけだが、彼はフロリダ大学のプレーヤーだった22年までは母国アメリカを出たことがなかった。それゆえにツアーで強いられる長距離移動に驚き、行動に移したということだろう。
 
 参加選手たちの活動は、ATPとパートナー企業のインフォシスが共同開発したアプリ「カーボン・トラッカー」を使って、シーズン中のトーナメントへの移動を追跡することから始まる。選手は自らの炭素排出量を把握し、意識的に移動手段を選択。その上で、削減しきれない炭素排出量に合わせて「カーボン・クレジット」を購入し、環境への影響を相殺させる。カーボン・クレジットは、二酸化炭素など温室効果ガスの削減効果を排出権として発行し、取引できるようにする仕組みだ。

 1年目の23年は200人以上の選手が参加し、記録された移動距離は合計655万kmに及んだ。選手たちは毎週、カーボン・トラッカー・リーダーボードの順位を競い合い、相殺されたトーナメントの割合やアプリ内の環境問題に関する教育クイズをクリアしたプレーヤーの「クイズスコア」、プレーしたトーナメント数、オフセットされた二酸化炭素量など、様々な要素によって順位が決定する。

 23年の1位はマッケンジー・マクドナルド(アメリカ/世界ランク61位)、3位はキャメロン・ノーリー(イギリス/同29位)だった。シェルトンを含めたトップ3は、賞金10万ドルを山分けし、それぞれが選択した環境保護団体へ寄付している。

 ちなみに、トラッキングされた移動データによれば、201人の選手のうち、ファーストクラスやプライベートジェットでの移動は合計でわずか1.4%に過ぎず、エコノミークラスでの移動は49%、車や電車、バスでの移動は19.2%だった。

構成●スマッシュ編集部

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