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【伊達公子】新人を迎えて先輩やベテランというポジションになった時の対応や考え方<SMASH>

伊達公子

2024.03.08

後輩の活躍が「プラスのモチベーションになった」ことがあると言う伊達公子さん。写真:THE DIGEST写真部

後輩の活躍が「プラスのモチベーションになった」ことがあると言う伊達公子さん。写真:THE DIGEST写真部

 もうすぐ4月。新しいことが始まるタイミングです。新生活を始める人がいるということは、今まで新人と言われていた人も先輩になるということです。自分のいる環境でのポジションに変化が出てきます。新人を迎える側は、どういう態度や考えでいるといいのでしょうか。誰しも性格が違いますから、どのような対応が適しているかは人それぞれです。参考の1つとして私の経験を紹介します。

 正直に言えば、手取り足取り細かく教えるのは苦手です。セカンドキャリアの時はツアーにいる若手に同じコートに立つことで刺激になればと考えていました。私が実際に行なっている取り組み方や姿勢態度を見て、響く人には響くだろうと思っていました。言葉で伝えることは今取り組んでいる育成プロジェクトのジュニアに対してが初めてですね(笑)。

 高校のテニス部で後輩が入ってきた時に決めていたことは、「思ったことははっきりと言うけれど、いじめはしない」ということぐらいです(※いじめについては次回書きます)。本人に直接言えないことは、いないところでも言いません。人にされて嫌だと思ったことは、人にはしません。これが私のスタンスでした。
 
 下の年代が入ってくることで、追い上げられるプレッシャーを感じることがあるかもしれません。私はツアーで下の年代の日本人選手と何度も直接対決をしたことがありますし、勝利も敗北も経験しました。当然ながら負ければ悔しい気持ちでいっぱいです。時には何日も何カ月もその悔しさが消えることがないこともありました。ただその1つの勝負の結果に一喜一憂していては心が乱れてしまいます。

 大切なことは自分のゴールです。相手や状況の変化を意識するよりも、目的達成のために自分が何をするべきなのかに集中しましょう。そうすれば、1試合の結果で気持ちがアップダウンすることが減り、長いスパンで物事を考えらえるようになります。つまり、後輩の成長よりも、自分の上達に全力を注げば、気持ちのブレは減少するでしょう。

 後輩の活躍がプラスになったことがあります。1995年ローランギャロスで、(杉山)愛ちゃんと(長塚)京子ちゃんが2週目に残っていました。私は好きではないレッドクレーだし、精神的にも疲れていた時期だったので勝ち続けることへのモチベーションをキープすることが難しい時でした。

 でも年下の2人が残っているのに、さすがに先に負けるわけにはいかない。それが、微妙な心の格闘がある状態に、キュッとねじを締めてくれた感じになりました。プラスのモチベーションになったわけです。

 結果的にベスト4というローランギャロスで最高の成績が出せましたが、彼女たちの活躍がなければ、その結果はなかったでしょう。状況によって違うとは思いますが、追い上げてくる存在を、プラスのモチベーションに変えられることもあると知っておいてください。

文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン

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