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大坂なおみ、心技体が噛み合いマイアミOP初戦突破!次戦の相手は「妊娠中に憧れた」ママさん選手スビトリーナ<SMASH>

内田暁

2024.03.22

今季復帰以降、試合を重ねるごとに自身の成長を感じている大坂なおみがマイアミ・オープンの初戦を納得のプレーで快勝した。(C)Getty Images

「今日はたぶん、ボールを打つ感覚は今までで一番良かったんじゃないかしら?」

 大坂なおみが穏やかな口調でそう言ったのは、テニスのマイアミ・オープン初戦後。エリザベッタ・コッチャレット(イタリア)に、6-3、6-4で勝利した試合で得た手応えである。オールラウンドで安定したプレーを誇る世界51位相手に、与えたブレークポイントはゼロ。最後はサービスエースで締めくくる、快勝ともいえる白星だった。

 今大会を迎える前、大坂は3回戦敗退となったBNPパリバ・オープン(アメリカ・インディアンウェルズ)での反省を踏まえて、次のように語っていた。

「インディアンウェルズで敗れた時、自分自身にフォーカスしていなかったことに気付いた。負けるのも当然だと思った。なぜなら私の最大の力……スーパーパワーとまでは言わないけれど、最強の武器は、自分自身の能力だと思うから。リラックスして自分のプレーができている時こそ、最も良い試合ができる」

 その点に留意した今大会前の準備期間では、「復帰以降、最も良い練習ができていた」とも大坂は言う。同時に「自分のプレーに集中」することは、相手に無関心であるということではない。

「今日の対戦相手は、とても賢くプレーする。だからわたしは、しっかり打ち合い、必要な時に自分のショットを打つようにも心掛けた。それに今日は、フットワークもとても良かったと思う」

 焦らず、打ち合いでジリジリと相手を追い込み、そして決めるべき時に「スーパーパワー」を発動し強打を叩き込む。そのようなプラン遂行の背景には、フットワークへの自信もある。まさに、心技体がカチリと噛み合ったがゆえの快勝だった。
 
 その、本人が「今まで一番良かった」と自信を深める勝利の先で、対戦するのはエリーナ・スビトリーナ(ウクライナ)。現在17位の29歳は、約1年前に出産から復帰するやいなや、ツアー優勝やウインブルドン・ベスト4進出の快進撃を見せ、多くの関係者を驚かせた。

 はたして大坂も、彼女の活躍に力をもらった一人だという。

「妊娠中に彼女(スビトリーナ)がプレーする様子を少し見て、『わたしもあの場所に行きたい』と思ったことを覚えている」

 同時に大坂は、出産や復帰という履歴とは無関係に、「彼女は常に素晴らしいプレーヤー。どんな時にも諦めない。今トップ20に居るのも納得だし、大切なのは、今の彼女がどの地位にいるかということ」とも続けた。

 二人が初めて対戦したのは、10年前。大阪開催のツアー大会だった。当時20歳のスビトリーナは既に若手の注目株で、16歳の大坂は、ランキングも注目度も急上昇中のライジングスター。試合は、大坂がファイナルセットでリードを奪うも、最後はスビトリーナが意地の追い上げで逆転勝利を手にした。

 この初対戦も含め、両者の戦績は3勝3敗。最後の対戦は2019年の全豪オープンで、この時は最終的に同大会を制した大坂が、6-4、6-1で勝利した。

 その時から、お互いに多くを経験し、似た道を歩みつつも、今、立場を変えて5年ぶりに対戦する。恐らくはこれまで同様に激しく、熱く、だがこれまで以上に趣き深い試合になるに違いない。

現地取材・文●内田暁

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