海外テニス

大坂なおみ、難敵スビトリーナを撃破!「攻撃の手を緩めてはいけない」…攻めの姿勢を支えたのは相手への敬意<SMASH>

内田暁

2024.03.24

自分の存在意義である「打ち合いを支配すること、素晴らしいサーブを打つこと」を最後まで貫き通し、大坂なおみがマイアミOP3回戦進出を決めた。(C)Getty Images

 両者が打ち交わす打球がことごとく、コートの四隅に測ったように鋭く突き刺さる。

 大坂なおみが、攻める。エリーナ・スビトリーナはポジションを下げることなく左右に走り、ボールに飛びつき、ヒザが地面に着くほど腰を落として、打ち返す。だが、どれだけボールが返ってこようとも、それを予測していたかのように大坂は、集中力を切らさず、何球でも高質のショットを打ち続ける。

 女子テニスツアーの「マイアミ・オープン」2回戦。会場で3番目に大きな"ブッチ・バックホルツ・コート"のファンたちは、緊張感みなぎるその攻防に息を飲み、ポイントが決まるたびに拳を振り上げ、歓声を上げた。

 互角に見えるつば競り合いの中、いずれのセットでも、数少ないチャンスを自身の手でつかみ取ったのは、大坂だ。第1セットは第6ゲームで、バックのクロスを豪快に叩き込みブレークする。ゲームカウント5-2とリードしたリターンゲームでも、再びバックの強打でブレークしそのままセットをつかみ取った。
 
 第2セットも、第1セットを焼き直したかのような展開に。第6ゲームをラブゲームでブレークした大坂は、5-3とリードし自身のサービスゲームを迎えた。

 ただここで、ダブルフォールトも絡めて3連続ブレークポイントを許す。サーブで2ポイントを返すも、最後はミスショットでブレークを献上。その後は互いにゲームをキープし、タイブレークにもつれ込んだ。

 ここでも一進一退、主導権が激しく入れ替わる攻防が展開される。大坂がスマッシュを叩き込めば、スビトリーナはコートを斜めに切り裂くフォアで応酬。それでも最後はサーブ力と、大坂の攻撃力がわずかに相手を上回る。

 ウイニングショットは、相手のラケットを弾くフォアのクロス。11カ月前に出産から復帰してきたスビトリーナを、2カ月半前に同じく産後復帰を果たした大坂が、6-2、7-6(5)で振り切った。

 コートから引き上げる大坂のコーチのウィム・フィセッテは、いつもの理知的な佇まいを保ちつつも、幾分興奮した口調で「間違いなく、復帰後最高のプレー」と断言した。ヒッティングパートナーのフィリップ・ベスターも、「疑いなく、今季一番」と即答する。
 
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大坂を大坂たらしめる“掛け替えのない何か”が勝利を引き寄せる