先週からスタートした国内開催のITF(国際テニス連盟)男子ワールドツアー。「亜細亜大学国際トーナメント」に続き、3月19日からは「TeamREC・早稲田大学インターナショナルテニスオープン」(M15)が東京・早大東伏見コートで行なわれ、24日のシングルス決勝をもって幕を閉じた。
ITFツアーは国際テニス大会のカテゴリーの中で、ATPツアーやATPチャレンジャーの下部ツアーに当たり、特に賞金総額15,000ドル大会は最も低いグレードとあって、これから世界を目指す新鋭たちの登竜門となっている。
日本では毎年3月から大学主催のITFツアーが続くのが慣例で、「大学シリーズ」として定着していたが、コロナ禍により開催が中断。昨年一部の大会が復活し、そして今年は亜細亜大、早稲田大が再開したことで、筑波大まで3週続く大学シリーズが蘇ることとなった。
第2戦に当たる早大国際オープンでは、昨年の春に早大を卒業したプロ2年目の白石光が躍進を見せた。第8シードの白石は、準々決勝で第4シードのツイ・ジー(中国)を破ると、準決勝では近畿大学出身の同い年のプロ、田口涼太郎に勝利。決勝で韓国のイ・ダクヒと対戦した。
現在、ランキングを672位まで落としているイはノーシードだが、2017年には自己最高130位をマークした実力者。604位の白石はその難敵を相手に、持ち前のクレバーなテニスで対抗した。重いボールで正確にコーナーを突いてくるイに対し、白石は粘り強いディフェンスをベースにしぶとく返球しながら、チャンスをうかがう。
単につなぐのではなく、スライスやヘビースピン、ライジングなど色んなボールを混ぜてイのミスを引き出し、機を見てネットを奪ってはボレーを決める。これぞ白石、というテニスで第1セットを6-4で先取。
第2セットはイの振り回しに後手に回り、先にブレークされる展開に…。ワンダウンの2-5と追い込まれたが、白石は冷静だった。「最初は相手が僕の緩急にタイミングが合わなかったが、徐々に慣れてくるのはわかっていた。2-5でも精神的には焦りはなく、ちょっとファイナルに気持ちを切り替えつつ、キープして3-5にできたので、もう1回ギアを上げようと……精神的な駆け引きがうまくマッチした」と白石。
3-5からパスやカウンターを決めてラブゲームでブレークすると、そのままタイブレークに突入。ここでも3-6とピンチに陥るが、「気持ちで引かず、最後は前に行った」のが功を奏し、10-7と鮮やかな逆転で2時間2分の激闘を制した。
白石はこれがITFツアー3勝目だが、「母校で優勝というのはどの大会で勝つよりもうれしい。今年初タイトルがここというのも、何か持ってるなと正直感じます」と素直に喜びを表した。
現在はまだITFツアーを回る白石。目指すのは早大の先輩・島袋将のように「やはり大学卒のプロがグランドスラムに駆け上がっていく姿を見せたい」ということで、そのためにはまず「チャレンジャーの舞台に上がり、早くそのレベルを知って、活躍すること」を今年の目標に据えている。第2の島袋が大学シリーズから誕生するのを期待したい。
なお、前日行なわれたダブルス決勝では、楠原悠介/望月勇希が河野優平/西脇一樹を7-6(9)、7-5で破り、優勝を飾っている。
取材・文●渡辺隆康(スマッシュ編集部)
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ITFツアーは国際テニス大会のカテゴリーの中で、ATPツアーやATPチャレンジャーの下部ツアーに当たり、特に賞金総額15,000ドル大会は最も低いグレードとあって、これから世界を目指す新鋭たちの登竜門となっている。
日本では毎年3月から大学主催のITFツアーが続くのが慣例で、「大学シリーズ」として定着していたが、コロナ禍により開催が中断。昨年一部の大会が復活し、そして今年は亜細亜大、早稲田大が再開したことで、筑波大まで3週続く大学シリーズが蘇ることとなった。
第2戦に当たる早大国際オープンでは、昨年の春に早大を卒業したプロ2年目の白石光が躍進を見せた。第8シードの白石は、準々決勝で第4シードのツイ・ジー(中国)を破ると、準決勝では近畿大学出身の同い年のプロ、田口涼太郎に勝利。決勝で韓国のイ・ダクヒと対戦した。
現在、ランキングを672位まで落としているイはノーシードだが、2017年には自己最高130位をマークした実力者。604位の白石はその難敵を相手に、持ち前のクレバーなテニスで対抗した。重いボールで正確にコーナーを突いてくるイに対し、白石は粘り強いディフェンスをベースにしぶとく返球しながら、チャンスをうかがう。
単につなぐのではなく、スライスやヘビースピン、ライジングなど色んなボールを混ぜてイのミスを引き出し、機を見てネットを奪ってはボレーを決める。これぞ白石、というテニスで第1セットを6-4で先取。
第2セットはイの振り回しに後手に回り、先にブレークされる展開に…。ワンダウンの2-5と追い込まれたが、白石は冷静だった。「最初は相手が僕の緩急にタイミングが合わなかったが、徐々に慣れてくるのはわかっていた。2-5でも精神的には焦りはなく、ちょっとファイナルに気持ちを切り替えつつ、キープして3-5にできたので、もう1回ギアを上げようと……精神的な駆け引きがうまくマッチした」と白石。
3-5からパスやカウンターを決めてラブゲームでブレークすると、そのままタイブレークに突入。ここでも3-6とピンチに陥るが、「気持ちで引かず、最後は前に行った」のが功を奏し、10-7と鮮やかな逆転で2時間2分の激闘を制した。
白石はこれがITFツアー3勝目だが、「母校で優勝というのはどの大会で勝つよりもうれしい。今年初タイトルがここというのも、何か持ってるなと正直感じます」と素直に喜びを表した。
現在はまだITFツアーを回る白石。目指すのは早大の先輩・島袋将のように「やはり大学卒のプロがグランドスラムに駆け上がっていく姿を見せたい」ということで、そのためにはまず「チャレンジャーの舞台に上がり、早くそのレベルを知って、活躍すること」を今年の目標に据えている。第2の島袋が大学シリーズから誕生するのを期待したい。
なお、前日行なわれたダブルス決勝では、楠原悠介/望月勇希が河野優平/西脇一樹を7-6(9)、7-5で破り、優勝を飾っている。
取材・文●渡辺隆康(スマッシュ編集部)
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