海外テニス

2強時代にクサビを打ち込んだ天才、マンドリコワ。サーブ&ボレーのキレとタッチで世界を魅了【レジェンドFILE7】

スマッシュ編集部

2019.12.31

身体のバネが感じられるマンドリコワのサービス。写真:スマッシュ写真部

 エバート、ナブラチロワの2強時代にあって、ハナ・マンドリコワは2人の間にクサビを打ち込めた数少ないプレーヤーだ。サーブ&ボレーを得意とし、タッチ感覚にも優れたところは、母国の先輩ナブラチロワ譲り。特にスライスサービスのキレには定評があった。

 彼女のプレースタイルが最も生きたのは芝のウインブルドンだったが、彼女が唯一取れなかったグランドスラムタイトルもウインブルドン。これはテニス界の七不思議と言えるだろう。

 エバートの力が衰えた後、ナブラチロワとのトップ争いになるかと思われたが、そこで彗星のように現れたのがドイツのステフィ・グラフ。結局、マンドリコワは2番手グループの先頭というポジションを脱することはできなかった。
 
 写真は得意としたスライスサービス。これを見ただけで、マンドリコワの運動能力の高さをうかがい知ることができる。6コマ目のラケットダウンから7コマ目のインパクト直後にかけて、きれいにラケットヘッドを外に抜き、ボールをこすっているのがわかる。彼女はそういう腕や手首の使い方が非常にうまかった。

 また、肩が柔らかく、テイクバック時のヒジの張りが大きかったのも彼女の特徴(4コマ目)。この張りが、相手にコースを読ませない効果を果たしていた。

【プロフィール】ハナ・マンドリコワ/Hana Mandlikova(AUS)
1962年生まれ。WTAランキング最高位3位(84年4月)。グランドスラム通算4勝(AUS:80・87年、RG:81年、US:85年)。チェコスロバキア出身。少女時代から同じプラハ市出身のマルチナ・ナブラチロワを目標に掲げていた。78年プロ入り後は、得意のサーブ&ボレーを軸にツアーで台頭。85年全米では憧れのナブラチロワを破り、同大会3度目の決勝進出で初優勝を果たした。引退後は、チェコの後輩選手であるノボトナのコーチを9年間務めた。88年にオーストラリアの市民権を獲得。

編集協力●井山夏生 構成●スマッシュ編集部

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