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女子テニス内島萌夏をカンガルーカップ優勝へと導いた涙の誓い!「奈良さんのように世界で活躍する選手になりたい」 <SMASH>

内田暁

2024.05.07

カンガルーカップに優勝した内島萌夏は自身の目標だった奈良くるみ(写真左)とともに表彰台で笑顔を見せた。写真:内田暁

 ゴールデンウィークの真っただ中に、岐阜市で開催される「カンガルーカップ国際女子オープン2024」(4月30日~5月5日/岐阜・長良川テニスプラザ/ハードコート/W100)の最終日。表彰台の真ん中で、彼女は、優勝プレートを高々と掲げた。

 現在22歳の彼女が、同大会に出場するのは2018年以来。それは彼女にとって忘れがたい、キャリアにおける、一つの始まりの日だった――。

 6年前のこの日、この表彰台の上で、彼女は大粒の涙を流していた。

 内島萌夏、当時16歳。身長170センチ超えの大型新人は、主催者推薦枠で出場した予選を突破し、大きなストライドで決勝まで勝ち上がった。

 その決勝で対戦したのが、奈良くるみ。小柄な身体で世界の32位まで至った、当時の日本テニス界を牽引する存在であった。

 決勝戦では、第1セットを奪った奈良が、第2セットでもセットカウント5-1と大きくリード。だがそこから、内島が驚異の追い上げを見せてタイブレークに。タイブレークでも内島がリードしたが、最後はひとつのミスショットから流れが変わり、奈良がからくも振り切った。

「奈良さん、優勝、おめでとうございます」

 表彰式での内島はそう言うと、溢れる涙に胸を塞がれ、言葉を続けられなかった。幾度も手の甲で目もとを拭い、「多くのことを今日の試合で学びました」となんとか絞り出した彼女は、涙声で、それでも力強く断言した。

「奈良さんのように、世界で活躍する選手になりたいです」……と。
 
 それから、6年。決勝でアリーナ・ロディオノワ(オーストラリア/104位)に6-3、6-3で勝利して優勝を決めた内島は、ファミリーボックスへと駆けあがり、チームスタッフたちと抱擁を交わす。その中には、2022年に現役を退き、現在は日本代表チームのコーチを務める、奈良くるみの姿もあった。

 16歳の日の大躍進で期待の若手となった内島だが、そこからの足跡は、必ずしも順風満帆だったわけではない。プロとして戦う上での拠点が定まらず、コーチ探しにも時間がかかった。ようやく足場が固まったのは、2019年末。多くのトッププロの指導経験を持つアラン・マーに自ら売りこみ、中国・広州のアカデミーへと移った。

 ところがほどなくすると、世は新型コロナ禍に覆われる。とりわけ中国は渡航規制が厳しく、国内に留まらざるをえない時間を過ごした。ただ内島本人も、そしてコーチも「それが良かった」と断言する。その間に、それまで課題としていたサービスからフォアハンドの打ち方まで、「全て変えた」からだ。

 中国でもようやく規制が緩和され、本格的にツアー参戦を再開した2022年、内島は快進撃を見せ104位でシーズンを終えた。
 
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大先輩の奈良が認めた“妹分”の成長