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海外テニス

全仏オープン初出場で2回戦進出の内島萌夏!世界2位に敗れるも「こんなに充実した1カ月はなかった」と手応え<SMASH>

内田暁

2024.06.03

3大会連続優勝で迎えた全仏オープンの予選を勝ち切り、初めて立った本戦でも2回戦進出を果たした内島萌夏が充実の大会を振り返った。(C)Getty Images

3大会連続優勝で迎えた全仏オープンの予選を勝ち切り、初めて立った本戦でも2回戦進出を果たした内島萌夏が充実の大会を振り返った。(C)Getty Images

 思えば、テニス四大大会「全仏オープン」のセンターコートに至る彼女の旅は、欧州の“交通の要衝の町”として知られる、スペイン・サラゴサの赤土から始まっていた。

 約6週間前の4月上旬――。ITF W100大会出場のためサラゴサを訪れた内島萌夏は、ドロー表の第1シードの隣に、自分の名前を見つけた。普段は、自分でドローを見ることのない内島だが、この時はコーチのいない一人旅。仕方なく自分で見ただけに、受けた衝撃も小さくなかった。しかも第1シードのアランチャ・ルス(オランダ)は、昨年の全仏オープン予選決勝で敗れた、因縁の相手でもある。

 ただ、「負けても仕方がない」と割り切れたことが、結果的にプラスに働いた。実際に試合では、第1セットを1-6で取られ、第2セットも2-4のサービスゲームでブレークポイントまで追い詰められる。それでも、「頭がすっきりした状態で挑めていた」という内島は、そこから大逆転劇を演じた。いわく、勝因は「悪い中でも、勝ち方を見つけられた」こと。そして、「それが自信になり、そこから良くなっていった」……とも。

 53位のルスを初戦で破った後、内島は一つのセットも落とすことなく、サラゴサ大会を制する。そこから日本へと移動し、ハードコートのITF W100の安藤証券オープンに出場。

 クレーからハードへのサーフェスチェンジ、まだキャリアで勝ち星のない有明コロシアムの高速コート、そして、所属先が冠スポンサーを務めるがゆえの責任感――。

 ただでさえ重圧がかかる状況に加え、内島が初戦で当たったのは、齋藤咲良。日の出の勢いでランキングを駆け上がる、怖いもの知らずの17歳である。「絶対に負けたくない」の思いが、内島の双肩にのしかかった。
 
 第1セットを失い、第2セットでも先にブレークされたのは、そのような内的要因が大きかっただろうか。ただここでも、彼女は「勝ち方」を見つけた。結果は、3-6、7-6(5)、6-2。

「日本人と日本での対戦。しかも相手は失うものがない。正直、やりたくない相手」からつかんだ逆転勝利は、彼女にとっての、もう一つのターニングポイントだった。

 安藤証券オープンは3回戦で敗れたが、この後、内島は岐阜のカンガルーカップ(W100)、翌週のスロバキア(W75)、そしてマドリード(W100)をも制する。そうして休みなく駆け込んだ全仏オープン予選でも、3連勝で本戦の切符をつかみ取った。

 さらには本戦初戦でも、同じく予選上がりのイレーネ・ブリージョ・エスコリウエラ(スペイン)に6-1、6-1で完勝。19に伸びた連勝街道は、ついには全仏オープンのセンターコート、“フィリップシャトリエ”へと至った。
 
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