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海外テニス

深夜マッチに女子軽視…世界9位のジャバーが全仏オープンの試合編成に物申す「何だか扱いが雑だと思うわ」<SMASH>

中村光佑

2024.06.06

深夜1時過ぎまで試合が行なわれたり、女子準々決勝がまだ観客が少ない午前中に組まれたりと、全仏OPの試合編成についてジャバーは「言いたいことがたくさんある」と不満をこぼす。(C)Getty Images

深夜1時過ぎまで試合が行なわれたり、女子準々決勝がまだ観客が少ない午前中に組まれたりと、全仏OPの試合編成についてジャバーは「言いたいことがたくさんある」と不満をこぼす。(C)Getty Images

 現在開催中のテニス四大大会「全仏オープン」の女子シングルス準々決勝で敗退した世界ランク9位のオンス・ジャバー(チュニジア)が、試合後の記者会見で各方面から批判を浴びている今大会のスケジュール編成について苦言を呈した。

 全仏は2021年から現地時間20時15分に開始するナイトセッションを導入しているが、夜の部には5セットの男子の試合を組むことがほとんどだ。これについては22年からトーナメントディレクターを務めるアメリー・モーレスモ氏(フランス/女子元1位)が以前「男子の試合の方が魅力的」との趣旨の発言をして波紋を広げたが(後に謝罪)、今年も変化は見られない。事実、ここまで女子のナイトマッチは1つも行なわれていないのだ。

 ジャバーがココ・ガウフ(アメリカ/3位)に6-4、2-6、3-6で敗れた準々決勝が実施されたのも現地6月4日の午前11時。夜の部を男子の試合で構成する背景にはテレビ放映や観客動員数など興行的な側面が関係していると見られるが、ジャバーはナイトセッションに3セットの女子の試合を入れようとしない大会側の差別的な扱いに大きな不満を抱いている。会見では次のように批判の言葉を口にした。

「ここまで夜の試合は計10試合あったけど、女子は1度もプレーしていない。女子選手全員が夜にプレーできると思っているわけではないけど、率直に言って午前11時に準々決勝を戦うのは、何だか扱いが雑だと思うわ」

「女子選手もナイトセッションでプレーするのに値すると思うし、その方がいい。女子の試合を観戦する人も増えて、スタジアムも混雑するでしょう」
 
 今大会におけるナイトセッションの男子の試合は接戦が多く、先述の興行的な観点からすれば成功と言えるかもしれない。一方で試合終了時刻が異常に遅くなるなどその代償は大きく、とりわけ夜に試合が組まれやすいトップ選手のフィジカルコンディションへの影響は計り知れない。

 3、4回戦をいずれも4時間超えの激闘の末に勝利したディフェンディングチャンピオンのノバク・ジョコビッチ(セルビア/1位)が、右ヒザの負傷で準々決勝を棄権したのは周知の通り。それを踏まえてジャバーはこう続けた。

「4時間の激戦とかではないけど、女子も素晴らしい試合が多かった。午前1時過ぎに試合をするのが健全だとか、そんな時間にスタジアムが満員になると言ったのは誰なのかしら? それにその時間にどのくらいの人が試合を見ているのか。もっと早く始めて、男女ともに良い試合が見られるよう主張したい。選手が午前11時や深夜を過ぎて試合をするのも健全ではないわ」

「昨日はノバク(ジョコビッチ)がヒザを痛めているところを見たわ。しっかり回復できなかったから彼はそんなことになったのかしら? 男女共に、全ての選手がもっといい扱いを受けるに値すると思うし、より良いスケジュールが組まれるべきよ」

 無論1つの大会が成り立つのは選手の健康があってこそだ。今後も批判が相次ぐようであればスケジュールを再検討すべきだろう。

文●中村光佑

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