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五輪での宿命の対決を終えたジョコビッチがナダルへの思いを吐露「将来的に僕らの関係がより良くなることを望んでいる」<SMASH>

中村光佑

2024.07.31

実に60回目となるナダル(左)との対戦に勝利し、通算成績を31勝29敗としたジョコビッチ(右)。2人の将来的な関係について語った。(C)Getty Images

 現地7月29日に行なわれたパリ五輪テニス競技の男子シングルス2回戦では、長年世界王者としてテニス界を牽引してきたノバク・ジョコビッチ(セルビア/現2位)とラファエル・ナダル(スペイン/現161位)による世紀の対決が実現し、6-1、6-4でジョコビッチに軍配が上がった。

 男子テニス史上最多回数を更新する60度目の顔合わせで、ナダルが14度もの優勝を誇る全仏オープンと同じローランギャロスの舞台で宿命のライバルを破り、対戦成績を31勝29敗としたジョコビッチ。試合後に応じたセルビアメディア『sportklub』のインタビューでは、「あなたにとってナダルは兄弟のような人なのか?」との質問を受け、次のように回答した。

「いや、僕らの関係に兄弟愛のようなものはない。僕たちはライバルであり仲間でもある」

 言われてみれば、共に20年以上にもわたるキャリアを歩んできたにもかかわらず、オフコートでのジョコビッチとナダルの絡みはあまり見たことがない。それには手の内を知られたくないという好敵手同士ならではの考えがどこかにあったからだと、ジョコビッチは説明する。

「僕らの状況下では、お互いに近づくのは常に困難だった。このレベルにいるとコートでプレーする時に不利になりうる多くの情報を与えてしまう可能性があるからね」
 
 一方で互いに現役を終えた後は、個人的にナダルとより深い関係性を築きたいとジョコビッチは率直に語る。

「僕らは人生の一部を共有してきた。正直に言うと、将来的には僕らの関係が今より良くなることを望んでいる。(テニスをしている時よりも)お互いにとても親しみやすくなるだろうし、僕らの生活も変わるだろう。おそらくもっと多くのことを共有できるようになると思う」と期待を込めて話した。

 周知の通り度重なるケガに悩まされている38歳のナダルは今季限りでの引退を示唆しているため、今大会が2人の最後の対決となることが濃厚だが、ジョコビッチ自身はまたどこかで再びナダルと対戦できることを望んでいる様子だ。

「彼が今何を感じているのか、どんな計画を持っているのかはわからないが、彼の幸運を祈っている。もしかしたら、コート上で会うのはこれが最後ではないかもしれないね」と締めくくった。

 ナダルに対する思いを率直に語ったジョコビッチ。ファンの心理としては、ぜひともナダルの分まで今大会を戦い抜き、悲願の金メダルを首にかける姿を見せてほしいものだ。

文●中村光佑

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